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HOMMAGE à PIAZZOLLA (Gidon Kremer,1996)

 

 ピアソラと言えば、Libertangoの演奏を思い出す人が多いかもしれない。

確かにリベルタンゴには何度でも聞きたくなる高揚感がある。最初の速いパッセージからノリノリで、弾いていても凄く気持ちいい。

文句無しに良い曲だ。だが、ピアソラにはもっと良い曲が沢山ある。これを聴かずして死ぬわけにはいかない、というわけでこのCD。

 

 このCDには、ピアソラが残した素晴らしい曲の数々が、クレーメルのヴァイオリンをメインにしたアレンジによって収録されている。

クレーメルはどちらかというと「ドライ」な音を出すヴァイオリニストとして有名であるが、このCDではドライな中に、時折物凄い色気を

含んだ音を聴かせてくれる。甘ったるい感じではなく、流し目のような色気である。

 

Hommage a Piazzora (Gidon Kremer)

3番のOblivionの憂鬱、4番のEscualoの心地良さは何度聞いても忘れ難い。

6番のConcierto para quintetoの高揚感と哀愁の対比なんか最高だ。

Paul Meyerのクラリネットが良い味を出している。

Concierto para  quintetoは自分でも演奏してみたいと思い、

適当に音を採ってバイオリンで合わせてみた事があるのだが、

リズム、ニュアンスのつけ方ともに全然上手く行かず挫折してしまった。

このCDの最後、7分41秒ぐらいからの部分だけでも上手く演奏することが

出来たらどれだけ幸せだろう。もっと昔から弦楽器を習っておけばよかった。

なんにせよ、このCDはおススメの一枚である。

夜中にひっそりと聞くと良い気分になれると思う。

きっと聴き終わった頃には8番のBuenos Aires hora ceroのテーマと加速感が

耳から離れなくなっているはずだ。

 

『花祭』(平岩弓枝 講談社文庫,1984)

 

 平岩弓枝 『花祭』(講談社文庫、1984)を読了。

前述した山田詠美の小説と一緒に古本屋で50冊ほど纏め買いした中の一冊である。

話の筋は別段上手いわけでもないし、ちょっと最後も予測がつく展開。

「こうなったら最後はこうならざるを得ないだろうなー」と思って読んでいるとその通りの展開。おそらく殆どの読者が予想する通り。

裏表紙には「激しい愛を寄せる青年調香師・彰吾が現われて」とあるが、それはちょっと違う気がする。

激しい愛を寄せたのは別の人間であって、主人公の彰吾自体は密やかな愛を寄せていたのではないか。

本文中に「ゲランの夜間飛行を愛用している」という一節があったが、今となってはこの香水が入手困難であるだけに、

この小説が書かれて20年以上前のものであったことを感じさせる。

内容は取り立てて良いとは思わないものの、『花祭』というタイトルが素敵だと思った。