Otelloの初日公演に行ってきた。
詳しく書きたいが明日からのクラス旅行の準備をせねばならないので手短に。
指揮のリッカルド・フリッツァをはじめとする豪華キャストで送られるこのOtello、初日だったこともあり相当に気合いの入った公演だった
ように思う。冒頭のAllegro agitatoの表現も激烈で一気に作品に引きずり込まれた。ちょうど右側の座席だったために金管や打楽器が
近い場所にあり、純粋な音量だけでもかなりの迫力。注目すべきは演出で、かなりスクリーンを駆使するなど、「映画」的な演出方法が
至る所でとられておりとても刺激的。歌手に関して言えばカッシオ役はイマイチだったが、イアーゴが途中からどんどん調子を
上げてゆき、ニ幕の「イアーゴのクレド」のところに至っては素晴らしい歌唱を聞かせてくれた。カーテンコールの際もイアーゴが
オテロやデスデーモナを差し置いて一番の拍手をもらっていたのではないだろうか。
(もちろんオテロやデスデーモナも素晴らしい歌唱であり、万雷の拍手をもらっていたのだが、イアーゴはそれを上回った。)
「イアーゴのクレド」は演出も素晴らしく、歌に合わせて壁に十字架を書きつけ、水をぶっかけて消す、というのが面白かった。
四幕、結末は何度も聞いて分かっているはずなのに、いざその時が近づくと鼓動が速くなる。
ここに至ってデスデーモナも絶好調。最後の歌を絶望と悲哀と無念を込めて歌い上げる。一幕の終わりにある「もういちど口づけを」
のシーンと対比させる構図でオテロは自害。音楽も最初の動機をやや強調した形で演奏された。
幕が降りてから、少しの間誰も拍手をせずにじっとしてしまうほどの名演。カーテンコールの際にホールを振り返ってみると
七割ぐらいの観客がスタンディングで拍手を送っている様子が目に入る。それぐらい素晴らしい時間であった。
(なお、僕の近くの座席にキャンベル教授がお座りになっていらっしゃるのを発見してびっくり。派手なシャツを着ていらっしゃいました。)
明日から三日間、クラス旅行という名目で伊豆にサーフィンに行ってくるのでしばらく更新が途絶えると思います。
宿は圏外になるので電話及びメールも時間によっては繋がらないかもしれません。
帰ってきしだい、溜まっている書評や旅行談などを順次書いていく予定です。