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『大聖堂 果てしなき世界 中・下巻』(ケン・フォレット,ソフトバンク文庫 2009)

 

 ついに完読!!

素晴らしい小説だった。今日は一日家に籠っていようと思い、午後三時に本書の中巻を開いて読み始めてから、飲まず食わずで

夜の十一時までかけて中巻・下巻合わせて1300ページ以上をノンストップで読み切った。

中巻の一ページ目を開いてから下巻の最後の一行を読み切るまで、休憩したいとも休憩しようとも思わなかった。

 

 中巻はまずもって「権威」との戦いが描かれている。権威を持たない者たちがあの手この手で権威や保守的構造・慣習に

立ち向かおうとする。一度は上手くいくように見えるものの、最終的には地域レベルを超えたより上位の権力の前に屈服させられる。

その様子は、読んでいてイライラするほどだ。これらと同時に、すれ違うばかりで上手く交差しない恋愛や、中世ならではの「ナンセンス」

な恋愛構造が描かれもする。そして最も大切なことは、ペストという大悪疫(La moria grande)と、百年戦争という戦い。

中世世界を揺るがせるこの二つの事件が、人々に次々と死を与えていく。中盤あたりで独白的に述べられる、これらを目の当たりにした

カリスの言葉からも見えるように、中巻は全体としていわば「不条理」が描かれている巻だと言えるだろう。

 

 対照的に下巻は解決の書だ。

上巻からずっと時間が経ってあの頃の指導者たちはほとんどが故人となり、子供だった登場人物たちがこの世界を動かしてゆく世代に

なっている。彼らは時代に翻弄され、抵抗し、罰せられ、そして立ちあがる。

とりわけ、メインキャラクターとして描かれるカリスの不屈の精神力(そして同時に、時折見せる人間らしい弱さ。)は読む者の心を打つ。

以下に、「絶対に許さない」と夜明けの大聖堂の屋根の上で力強く言い切るカリスの台詞を引用しよう。

 

カリスはさっと腕を広げ、町とその向こうの世界を示した。

「何もかもよ。身体がどうにかなるまで喧嘩している酔っぱらいとか、わたしの施療所の入口に病気の子供を捨てていく親とか、

ホワイト・ホースの外のテーブルの上で酔った女と性交するために行列をつくっている男たちとか、遊牧地で死んでいく家畜とか、

半裸で自分を鞭打ち、見物人から小銭を集める悔俊者もどきとか。それに、わたしの修道院で若い母親が残忍に殺されたわ。

ペストで死ぬのなら、運命と諦められるかもしれない。でも、生きているかぎりは、この世界が壊れていくのを黙って見ているわけには

いかないわ。」 (同書下巻 P.268)

 

  偶然に揉まれ、必然に流され、時代の中で登場人物たちは時に交錯しながら必死に生きる。

それぞれがそれぞれの問題を抱え、読者である我々に問いかける。死や生といった抽象的な問題だけではない。もっと具体的な問題、

例えばカリスとマーティンの辿った人生を考えたとき、「結婚」とはいったい何なのだろうかと考えずにはいられない。

他にも多くのテーマが横たわっているがそれは読んでもらえば届くことなので、これ以上多くは語らないことにしよう。

 

 総計、約2000ページ。

原題である ” WORLD WITHOUT END ” が示すように、時間的にも空間的にも 途方もないスケールと深さを持つ作品だった。

塔の天頂から果てしなく続く世界を視界に広げ、吹いてくる風に身を委ねるような、ただただ心地よい読後感が残っている。

 

 

セカンド・ディメンションと『白旋風』

 

 プロと手加減なしの4ゲームマッチをしてきました。

ちょうどStormのセカンド・ディメンションをドリルしたばかりだったので、このボールをメインにして最後まで投げました。

このボール、予想していたとおり僕の球質にとても合うようです。とくに横回転を多めにして外側へ振って投げると、かなり奥まで走って

「ガタ‐落ちる!もう駄目です!あ、あ、さような・・・なんちゃって」という感じで、凄い加速感とともに内側へ切れ込んできます。

かなり回転を入れてもスムーズに走ってくれるため、無理やり手前を走らせる必要がありません。ピンアクションは壮絶の一言。

タップは普通にしますが、キックバックがとても激しい。誇張抜きに、跳ね散ったピンが左右に一往復しているように見えます。

難点はStormのボールに特有の「微妙なフレグランス」です。Stormのボールには大抵香りが人工的につけられていて、

今回のSecond dimensionにもリンゴっぽい匂いがつけられています。高校生の頃に使っていたStormのX-Factor Reloaded

にはシナモンアップルの香りがつけられていたのですが、ボールバッグにこのボールと一緒に入れていたシューズやら小物やらが

みなシナモンアップルの香りになってしまっており、さらには同じロッカーに入れていたユニフォームまでシナモンアップル臭に

犯されしまっていた経験があるので、今回はちょっと警戒しています。投げ友達の中に、Stormボールの香りに辟易して

ボールにファブリーズをぶっかけたツワモノがいるのですが、彼曰く「ファブリーズでは勝てんかった・・・」とのこと。

消臭作戦では歯が立たないようなので、今回は生政治的に隔離作戦を推し進めていこうと考えています。

 

 ボールのフレグランスに話が流れてしまいました。

ともかくこのボールを使って、久し振りに思いっきり出して思いっきり戻すラインを投げ続けました。

220-179-201-230でアベレージ207.5。対するプロはなんとアベレージ233。4ゲームまではプロにくっついていけたのですが、

最終ゲームで268を出されては230を出しても全く勝ち目がありません。プロの本気と精密なライン取りを目の当たりにしました。

また来週にリベンジマッチをやる予定なので、次こそは追いつきたいと思います。

 

 帰宅してからは、買ったばかりの焼酎用グラスに『白旋風』(宮崎県櫻の郷醸造)をロックで開けます。

この焼酎、ネットで検索してもあんまりヒットしないマイナーな焼酎なのですが、かなり美味しいです。

ジョイホワイト芋という特殊な芋を使っているために、どことなく柑橘系のニュアンスを感じるものになっており、とても爽やかな口当たり

のおかげで疲れている時でもスイスイ飲めます。一方で焼酎らしい重さがないために水で割ってしまうと味がちょっとボケてしまうので、

冷蔵庫で良く冷やしてロックにするのが一番美味しい飲み方じゃないかと思います。

異文化交流と称してこの焼酎を飲みながらフランス語の復習をやってL’Étrangerをゆっくりと読み進め、

最後にパーフェクト・ソルフェージュを少しとピストン・デヴォート『和声法』の「非転調型ゼクエンツ」の項を勉強して一日終了。

いつの間にか外が明るくなっていました。8月に比べて朝方はだいぶん涼しくなりましたね。

 

 

ボウリング・インテンシブと『渓流 雪たより』(遠藤酒造)

 

  投げまくった一日だった。まず、朝から大会で4ゲーム。

センターで一番上手い人と総支配人と同じボックスでちょっと緊張しつつ、無難に190ぐらいでスタート。

右のレーンは4ゲーム通じてほぼパーフェクトだったのだが、左のレーンがなかなか読めない。アングルを次々に変えていっても

7ピンが残ってしまう。ポケットには簡単に入っていくのに、あと一本が倒れない。かといって大胆なラインチェンジをしてしまうと

スプリットの危険性があったので、3ゲーム目まで左のレーンはスペアで耐える展開になった。4ゲーム目になってようやく左のレーンが

読めてくる。右でストライク、左でストライク、右でストライク、左でスト・・・ジャストに入ったのに8番が立ち尽くす(泣)

気を取り直してスペア。また右でストライク、左で今度こそスト・・・強烈にジャスト入って9番残り(泣) ひえー。

同じボックスの一番上手い人も左レーンでジャスト8番を連発しており、二人で「これはピンのオフセットだ。そうに違いない。」

ということにして自分を納得させておいた。たまにはこういう日もある。アベレージ180ぐらいで終了。

 

 夜、高校の後輩(今は大学のボウリング部に入っている)とセンターのスタッフの方から一緒に投げようとのお誘いを頂いたので、

再びボウリング場へ。もうすぐ日が変わろうかというような時間だったので、一般客はほとんどおらず、ほぼ貸切状態。

というわけでみんなでテンションを上げて思いっきり騒ぎながら投げる。

ストライクを続けてはジョジョっぽい叫び声を上げるスタッフの方や摩訶不思議なガッツポーズを繰り出す後輩に爆笑しつつ、

僕もストライクが続き始めると四レーン分ぐらいアプローチをスライディングしてみたり。(やりすぎて膝が摩擦熱で熱かった。)

もはやアプローチ上のショーである。勤務中のスタッフの方も客がいないのをいいことに僕らが投げている所へ集まって来ていて、

大変盛り上がる展開になった。テンションの高さゆえかどうか分からないが、三人ともバカ打ちしていて、200を切ると最下位決定

というかなりレベルの高い戦いに。割ってしまうとやばそうだったので、15枚ちょい出しラインでSolarisを使って狭く強く投げる。

205-169-215-170-220-235-223-211-212-180で10ゲームに及ぶ激しい試合は終了した。アベレージは204。

200を三回切ってしまったのは心残り(しかもカバーミスだった)だが、10ゲーム中にノーミスを三回含んでいたので少し満足。

200アベレージを超えるためには、1. 打ち上げること 2. 大きなマイナスゲームを出さないこと の二つが要求されるのだが

今日はバカ打ちこそしなかったものの、大体は210前後を打ち続けることが出来たので2の条件は満たせたように思う。

ここに250ぐらいのバカ打ちゲームが加わればきっと220アベレージぐらいになるのだろう。先は長い。

 

 日が変わるのもお構いなしに、最初から最後まで腹筋が崩壊するぐらいみんなで笑いながら投げた。

スランプ気味だった後輩もちょっとしたアドバイスで立ち直ってくれたし、ここ数か月で一番楽しいボウリングだったかもしれない。

やっぱりスポーツは楽しんでやるのが一番です。

 

 なお、帰宅後に遠藤酒造の『渓流 雪たより』を口開け。

東京へ引っ越して最初に友人と飲んだ酒がこれと同じ遠藤酒造の『渓流 春限定吟醸』だったため、渓流シリーズにはひときわ

思い入れがある。(ちなみに、この春限定吟醸は最高に美味しい。口の中でふわーっと華やかに味が開けてゆく。ボトルも綺麗で、

僕にとっては春の風物詩の一本だ。) 今回の『渓流 雪だより』は濁り酒で、おちょこに注いでも底が見えないぐらい濁っている。

口に含むとトロリとした舌触りと軽い酸味。そしてほんのり甘い後味。なんとなく小さい頃お祭りの日に頂いた甘酒を思い出す。

体に優しく染み込んできてとても美味しい。

これとポン酢をかけたオクラの相性が抜群で、一杯だけと決めていたのについつい何杯か呑んでしまった。

ボウリングも楽しかったしお酒も美味しかったしで幸せな一日だった。明日からも頑張って勉強しよう。

 

『理性の限界 不可能性・不確定性・不完全性』(高橋昌一郎,講談社現代新書 2008) &カオス呑み

 

 駒場の生協で著者の名前が目に入り、即座に購入。

著者は講談社現代新書で10年近く前に『ゲーデルの哲学』を書いており、これを高校時代に読んでハマった覚えがあったからだ。

JR大阪駅を出てすぐ、ヤンマーディーゼルの看板が窓から見える辺りで読み終えたということまで覚えている。それほど印象的だった。

 

 今回の『理性の限界』もまた、読み終えた瞬間を覚えていられるほど刺激的な内容。

最初から最後まで「シンポジウムにおける対話」という形式を取っているので、内容は決して簡単ではないものの、楽しんで読める。

テーマは大きく分けて「選択の限界」「科学の限界」「知識の限界」の三つであり、それぞれに関連する主要な理論が

仮想シンポジウム参加者の対話によって説明されてゆく。

「数理経済学者」がコンドルセのパラドックスを説明したかと思うと、「情報経済学者」がアクセルロッドのTFT戦略について

説明してくれるし、それに絡める形で再び「数理経済学者」がミニマックス理論やナッシュ均衡に話を広げていく。

「科学主義者」はラプラスの悪魔や相対性理論を噛み砕いて説明するし、「相補主義者」は二重スリット実験を紹介してくれる。

(二重スリット実験は何度読んでも感動する。この現象を目の当たりにした科学者は最初どれほど驚いただろう。)

お約束とも言えるクーンのパラダイム論については「科学社会主義者」なる人が概略を語ってくれる。

それに対して「方法論的虚無主義者」なる人がファイヤアーベントの哲学を持ち出して来て、Anything Goes ! という極端な

科学哲学を紹介してくれたりもする。(このファイヤアーベントの哲学は本当に面白いと思う。これから読んでみたい。)

 

 ところどころ登場人物に不自然なところがある(「ロマン主義者」とか「フランス国粋主義者」とか)が、それもまたこの本の面白さ。

著者は、幅広い参加者たちに託して対話の中に様々な知識(たとえば、フランスの「コアビタシオン」と呼ばれる政策についての

説明や、マーヴィン・ミンスキーの「心社会論」についての説明など)を練り込んでくれている。その一方で、「カント主義者」が

「要するにだね、カントによればだね、君の意志の格律がいつでも同時に・・・」と言いかけては「司会者」に

「はいはい、今はカントの話ではないのでまた後日にお願いしますね。」と流されているのがちょっと哀れで笑えたりもして、

最初から最後まで読んでいて飽きない。後半で紹介される「ぬきうちテストのパラドックス」なんかには「むむむ・・・。」と

悩まされること請け合いである。悩みながら楽しみながら、『ゲーデルの哲学』同様に買ってすぐに一気に読み通してしまった。

数ある新書の中でも非常に充実感の高い一冊。おすすめです。

 

(参考:【抜き打ちテストのパラドックス】

1.月曜日から金曜日まで、いずれかの日にテストを行う。

2.どの日にテストを行うかどうかは、当日にならなければ分からない。

という講義要項があったとする。これを見たA氏は「テストは実施されえない」と判断した。というのは、この講義要項1に基づけば、

まず木曜日の時点でテストが行われなかった時点で「テストは金曜日だ」と予想されるが、予想された時点で講義要項2に反するので

金曜日にはテストは行われえない。これより、金曜日にテストが無いならば、木曜日にテストを行う場合、先ほどと同様にして水曜日

まででテストが行われなかった場合「テストは木曜日だ」と予想され、これは講義要項2に反するので木曜日にテストは行われえない。

これを繰り返していくと、月曜日から金曜日までで「抜き打ち」テストを行うことはできない。よって抜き打ちテストは無い。

このようにAは判断したのである。しかし、実際には金曜日にテストが実施された。

「おかしい!上の理由により、テストは行われないはずだ!」とAが主張すると、教授は笑いながら

「でも、君はテストが今日行われないと思っていたんだろう?それならば、抜き打ちテストは成立しているじゃないか!」と返した。)

 

 なお、これを読んだあとにクラスの友達数人で高尾山のビアガーデンにて「カオス呑み」をしてきた。

「カオス呑み」とは名前の通り、秩序に縛られず酒を楽しむ会のこと。簡単に言うと呑みまくっているだけである。

いつもは下北沢などで開催され、最終的には結構カオスな事になるのだが、今回は高尾山ということもあって

非常に穏やかな展開になった。今回はみんな『理性の限界』を破らずお酒と高尾山から見る夜景を楽しんでいたようだ。

 

『大聖堂 果てしなき世界 上巻』(ケン・フォレット,ソフトバンク文庫 2009)

 

 帰省していた時に世界史の川西先生にお勧めして頂いたこの大著、ようやく上巻を読み終えた。

この作品は、上・中・下それぞれを一気に読み通すべき本だと思う。

というのは、まず登場人物が相当に多く、しかも名前が似ていてややこしい。ドストエフスキーも真っ青なレベルである。

加えて、途中で時間が一気に飛ぶ箇所がある。これによって読者は「え、こいつ誰だっけ・・・?」という困惑に容赦なく叩き落とされる。

もちろん僕もその困惑の渦に嵌った一人で、前を参照しながら人物関係を追うのに必死になった。

 

 だが、これらの「試練」とも言うべき個所を抜けると、登場人物のキャラが一気に立ってくる。

先ほどまで誰が誰だか迷っていたのが嘘のように、パッと視界が開けてこの作品の世界に入り込む事が出来るだろう。

そこからは本当に面白い小説だ。小説としても面白いし、世界史をやった人にはこの作品の背景に中世の社会構造が大きく横たわって

いることが見て取れるはずだ。(例えば、聖職者の特権的地位、職人の身分、女の地位、ギルドの閉鎖的構造、保守と改革など。)

上巻を読み終えた今、世界史の先生がお薦めされた理由がよく分かった。各巻が650ページぐらいある大著で読むにはかなり

骨が折れる(ついでに、読んでいると重さで手が段々ダルくなってくる。ストレッチ必須。)が、カリスとグウェンダ、そしてマーティンと

ゴドウィンといった魅力的なキャラクターたちが時にハラハラ、時にイライラさせてこの世界に惹き込んでくれるので、中・下巻も

それぞれ一気に読み通せそうだ。夜中、ソファーに寝転んでキンキンに冷やした白ワインを飲みながらこれを読んでいると

一人暮らしの狭い1Rにも関わらず異常に幸せな気分に浸れるので、今週の夜はこれを読んで過ごすことにするつもりである。

 

 なお、本日も経堂で8ゲーム投げ込んだ。

師匠に教わったラインを練習すべく、家に寝かせていたMomentum Swingを持ち出してきた。

このボール、寿命に難があるものの、「スーッ」と滑らかに曲がっていくしピンアクションも良いしで使いやすい事は確かだ。

これを25枚目から15枚目まで出して投げる。横回転を多めに入れ、オイルを長く使って「狭く・強く」投げる練習である。

今の回転ならガターギリギリまで出しても戻してこれるが、それではボールの勢いが削がれてしまい、ジャスト‐タップが起きてしまう。

師匠に指摘された通り、次に僕が目指すべきは、回転数が多くてスピードの乗った強い球を狭いライン(=オイルを長く使う)でしっかりと

投げれるかだ。ポケットに入るラインを見つけるのではなく、ストライクが続くライン(=タップしないライン)を選ばなければならない。

トップトーナメントでは210アベ以上が要求されるので、このラインを早急に自分のモノにして引出しを増やしたいと思う。

これを使えるようになれば、5枚刻みに5つの基本ラインを取れることになる。これ以上内側に立たねばならないもあるが、

インサイドに立つのは嫌というほど練習したから苦手意識は無いし、そもそもそんな時にはボールを変えれば何とでも対処できる。

後は状況に応じて1枚2枚ずらしたり、回転軸を少し調整してアジャストすればよい。

 

・5枚をまっすぐorちょい出し。・・・レフティの王道ライン。オイルの切れ目を感じて、先まで走らすのが最大のポイント。

・10枚から外にちょい出し。・・・万能。朝の試合で最初に選択するライン。オイルの壁に沿わす感じ。

・15枚から5枚まで出す。・・・非常に使いやすいライン。ここを使ってちょっと薄めに入れるのが好き。

・20枚から10枚まで出す。・・・オイルを長く使う。ピン前が切れているときはこれ。ここを使って厚めに入れるとパーフェクトストライク。

・25枚から15枚まで出す。・・・オイルを長く使って、エネルギーロスを極力避ける。横中心回転。狭いラインで強烈にフリップする球。

(・18枚目直球…ネタ。アプローチ上での助走のエネルギーと体重移動と身体の捻り戻しを使って45キロでぶち込む。カタルシス。)

 

 投げ始めてすぐに小学生が二人寄って来て、「上手くなる方法教えて」と言われたので、スパットを見ること、アプローチをゆっくり

歩くこと、左手でバランスを取ること、毎回立ち位置を確認すること、などを簡単に説明した。小学生たちが嬉しそうに戻っていって

投げ終わったあと、「どうや!」と言わんばかりに(関東の小学生が「どうや!」なんて言うわけはないが)こちらを見るのが可愛かった。

お母さんも最初のうちは「邪魔してすみませんほんと。○○、邪魔しちゃだめよ!」と言っていたのに、

最後の方は「左手でバランスを取れって教わったでしょ!えーと、これで合ってますよね?」と尋ねてくるようになっていらっしゃって、

やっぱり子供の上達が気になるんだなあと思うと微笑ましいものがあった。子供たちもすっかりハマっていたようで

小学生:  「もう一ゲーム!」

お母さん: 「もう一ゲームだけよ!」

  ~ 一ゲーム終了 ~

小学生:  「もう一ゲーム!!」

お母さん: 「もう一ゲームだけって言ったでしょ!・・・これが最後だからね!!」

などという光景が展開されていて、スタッフの人と目を合わせて笑ってしまった。なんとも平和である。

子どもたちは最後に、「お兄ちゃん、ありがとうございました!」と元気よく挨拶をして帰っていった。

「バイバイ、またおいでなー。」と手を振りつつ、「おじさんって呼ばれなくて良かった・・・。」とホッとしていたのは内緒である。