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渇いていなければならない

 

書かなければいけないものがあるときに限って、別のものが書けてしまったり、普段良く聞き取れない音が聞こえるようになるのはなぜだろう。

他のものを書きながら、聞きながら、書くべきものがふとした拍子に降りてくるのをひたすらに待つ。

珈琲を淹れて、夜中の町を闇雲に歩き、原稿用紙の升目を無視して意味のない言葉を書き連ね、懐かしい写真を見返す。

陽が登ったらおしまいだ。一端眠りにつくしかない。それを繰り返す。

 

身を切り刻むような時間。

欲しい言葉が振ってくるのは、いつもそのあとだ。それはただ美しい言葉ではなく、巧い文章でもない。

孤独の時間を経由しなければ書けない、何かしらの「強度」を持った言葉。

渇きから生まれる強さ。

 

 

 

 

 

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