August 2009
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伊豆サーフ・トリップ

 

 二泊三日で伊豆へサーフィンに行ってきた。

「クラス旅行の下見」という名目であるが、まあ実際にはクラスの友達数人を波乗りに拉致したようなものだ。

前日までの天気予報では三日とも絶望的に雨。天気図を見ても雨雲の動きの図を見ても、雨か曇り以外あり得ないような天気で、

「しまったなあ・・・」と思いつつ旅行の準備をしていた。

当日になってもスッキリしない天気。いくら良い波が来ていても、雨の海辺はちょっと鬱になってしまう。

抜けるような青空と、降り注ぐ太陽、それから澄んだ海。日焼けしようが何だろうが、海はこんなふうに晴れていた方が楽しい。

もはや自分の晴れ男パワーが前線を動かすことを信じるしかない。同行した友達のT氏も晴れ男だそうで、

「二人でフュージョンして前線の位置を動かそう」などと壮大な話をしつつ出発した。

 

 そしていざ海辺についてみると、なんと青空が見えていた!晴れ男パワー×2恐るべし。

友達にカレント(離岸流)の注意をしたあと、ひととおりボディボードを教える。初日の波は厚めで、腰から腹ぐらい。

厚めの波の場合、テイクオフのタイミングを上手く取らないと乗り遅れてしまうこともあり、みんな最初は少し苦労した様子だったが、

一時間ちょっと練習しているうちにガンガン乗れるようになってきていた。水温が冷たく、長く入っていると寒さを感じるぐらいにも

関わらず、みんな一度入ると帰ってこない。波に押されるあの感覚とスピード感にすっかりハマってくれたようで嬉しかった。

休憩時間にもビーチバレーやビーチフラッグで盛り上がる。海は本当に楽しい。

 

 夕方になるとビーチから人がほとんど消えたので、ショートボードを持ち出して浜の端のほうで一人サーフィンをしてきた。

端の方には岩が突き出ている所があって結構危険なのだが、岩の直線上遥か沖からカットバックを繰り返して、僕が波待ちを

していたところまでやってくるサーファーがいた。実にスムーズでスピードに乗った動きで、いかにもローカルの人っぽい

雰囲気を出している。波待ちをしていると近くの人と仲良くなったりすることがあるのだが、このローカルらしき人も

近くに来た時に話しかけてくれたので、この機会を利用して伊豆おすすめのポイントや食事場所、温泉などを教えてもらった。

こういう場所ではローカルの人の話が一番参考になる。感謝感謝。

 

 食後は宿泊先のガーデンヴィラ白浜へチェックイン。ここのオーナーは大学の大先輩で、温厚で親切、そしてダンディな方だ。

荷物を部屋に置いて海の見えるテラスでバーベキューを開催。限界まで体力を使って乾いた喉に、良く冷えたビールが気持ちいい。

帆立、サザエをはじめとする魚介から大量の肉まであって、満足感MAXの夕食であった。夕食を済ましてからはプール横に

併設されたバーでトロピカルカクテルを頂きつつ少し泳いだあと、貸切露天風呂(暗くてホラーだったが、絶景だった。)を満喫。

そして日が変わるころには全員爆睡。

 

 二日目、強烈な日差しを感じて目が覚める。カーテンを開けてみると、昨日よりずっと綺麗な空と、エメラルドグリーンの海が

眼下に広がっていた。水平線と地平線が溶けるようなこの光景に感動しつつ、慌てて海に出る。

波のサイズは胸、時々それ以上。かなり大きい。サイズに加えて掘れた波で、しかもダンパー(一気に崩れる)という初心者には

ハードなコンディション。まずゲティングアウトが大変で、上手くポジションを取らないと波に巻かれて底に叩きつけられる。

これは結構大変だなあ・・・と思ってみんなの方を振り返ると、もうとっくにみんな海の中に入っていた。怖いもの知らずである。

案の定、最初のうちは波に巻かれたり盛大にパーリング(ボードの先を海面に突き刺してしまいひっくり返ること)していたようだが、

しばらくするとこのヤヤコシイ波に乗れていた。すごい。乗るのは大変だしアクションも入れづらいが、パワーがある波ではあるから、

一度乗ってしまえば物凄いスピード感を味わえる。しかも面が切り立っているから、波のトップから一気に落ちて加速する感覚も

楽しむ事が出来る。失敗すると巻かれて苦しい思いをするけれど、成功すれば波を支配したような気分になれる。

まさに波との闘いであった。ダンパーの波を綺麗にショートボードで乗りこなせるような技術は持っていないので、今日は僕も

ボディボードをメインにして、友達と同じ場所に波待ちしてこの波と格闘した。

 

 宿に帰って夕食。今度はバーベキューではなく、通常料理なのだが、この御飯がまた絶品だった。

舟盛りの刺身に始まり、荒汁からハーブ焼きから生クリームグラタン、身があり得ない程巨大な海老フライや締めの杏仁豆腐に至るまで

どれもが美味しくて、様々な国の料理の良いとこ取りをした気分になった。食後に自由に飲めるようになっていた珈琲も、おそらく

コロンビアとブラジルベースの豆を使用したもので、優しく上品な味。部屋に戻って一服したあと、昨日と同じくプール横の

バーで酒を飲みつつ、デッキチェアーで星空と月を見ながら爆睡。虫に刺されまくったが、このような自然の中にいるとそれが

不思議と気にならない。「よお蚊。お前も大変だなあ。ちょっと血でも吸ってけよ。」みたいな、鷹揚な気持ちになれる。

貸切露天風呂では男どもで海を眺めつつ就職の話を真剣にし、部屋に戻ってからは怪談(?)や恋愛話、最後には生命倫理の

話にまで広がって夜が更けていった。

 

 三日目は曇り。昨日までとは打って変わって、波の調子が良くない。強いオンショア(海風)が吹いていて、セットもピークも

あったものではないチョッピーなコンディション。水温も冷たく、あまり波乗りには向いていない。ということで、浜辺で色々写真を

撮った。中でも、かっぱの処刑写真と、「ターミネイター」と題するショートコントのような動画は、確実に人を笑わせるであろう傑作だ。

ここにアップしたいぐらいなのだが、ターミネイターに扮したT氏の人間としての尊厳に配慮して自重することにしよう。

 

 海から早めに上がって、帰り道にある「禅の湯」に向かう。初日にローカルの人から教えてもらった天然温泉だ。

露天風呂の温度がバグっていたり、岩盤浴の熱気が日焼けに刺さって悶絶したりしたが、サーフィン後の温泉は本当に気持ちいい。

温泉の効能かデトックスの効果か分からないけれど、とにかく身体が軽くなる。たっぷり一時間ちょっと入った後、途中にあった

御飯屋さんで鰻や蕎麦を食べたあと帰路につく。天気や宿にも恵まれ、気の置けない友人たちと豪遊した三日間であった。