一つの考えが形になりつつある。
いまこの機会を逃すと僕は永遠に後悔するだろう。
不安は山のようにある。だが、不安を抑えてあまりある魅力が目の前に湧き出している。結局のところ、僕は崖っぷちに置かれた
ロードランナーの上で走り続けることで自身を磨かざるを得ない。安定した地面の上では無難な思考しか生み得ない。
僕には時間が必要だ。そして時間と同時に闇が必要だ。ヴァレリーが書いていた。
「意識というものは闇から生まれ、闇を生き、闇を養分にし、はては闇をより濃く生まれ変わらせる。―自らに問いかけることにより、
また自らの明晰さの力により、その力に比例して。」
闇に住むことなく、光の中で笑っているだけでは、いつしかコントラストも失われてしまう。影、陰り、波打ち際の黒く濡れた砂。
慣れ親しんだあの場所にそろそろまた戻っていかなければならない。孤独は僕に生気を蘇らせてくれる。
二度と起こらないことが分かっている出会いに自分の全てを賭けてみるのも悪くない。
力不足なのは分かっている。けれども、息の止まるような感動に人生を捧げたい。どんな形でもいい。音楽でも、文章でも、デザインでも。
学べる限りを学んで再びこの場所へ。コクトーが、ヴァレリーが遥か遠くから背中を押す。そして、たぶん僕の師も。