September 2014
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<セブ滞在記 9日目>最後のコンサート

 

最後のコンサートはE-mallのステージにて。燕尾服に袖を通し、全身全霊を注いで演奏しました。

まずはUUU&CPO合同で金管十重奏 (のはずが打楽器やファゴットの方々にも参加して頂いて、なんと十五重奏になりました!)をロビーコンサートで指揮して、両国国歌で厳かに幕を開けます。 大好きになったスターパズルマーチ、アクションまで練りに練り込んだ楽器紹介「さんぽ」、この数ヶ月ずっと勉強し続けたヴァイオリン協奏曲Rewire と、始まるとあっという間に曲が進んで行きます。

最も忘れ難い瞬間のひとつは現地の音楽教室の子ども達と共演したFrozen Medleyで訪れました。半年前に訪れた時にはドレミを吹くのが精一杯だった現地の音楽教室の子どもたちは今や、オーケストラの中に入って一緒に一つの音楽を演奏するまでになったのです。それは本当に本当に「奇跡的な」光景で、チューニングを終えて指揮台に立ち、ステージに並んで楽器を構えたUUUメンバーと子どもたちと目を合わせたとき、その幸せに涙が溢れてくるのを止めることが出来ませんでした。Frozen Medleyを演奏し終わったときの彼・彼女らの誇らしげな表情を僕は一生忘れないでしょう。

 

それからもう一つ。エルガー「威風堂々」の指揮者体験コーナーに挑戦して見事な指揮を披露してくれた、Seven Spirit音楽教室に通う子どもがくれた言葉です。

「昨年2月にあなたが<運命>を指揮するのを見て、それから指揮に憧れた。フェルマータで伸びた最後の音を切るあの姿を僕もやってみたくて、あれから半年間練習したんだ。夢が叶って僕は本当に嬉しい!」

師匠、この言葉を聞いて頂けましたか。あのとき僕は、心の中でそう呟きました。なぜならば僕は、師匠のその姿に憧れて指揮を続けてきたからです。憧れたものを少しでも自分が体現することが出来て、その魅力を国境や年齢を越えて他者に伝えることが出来た。こんなに嬉しい事はありません…。

 

ヴォーカリストの氷置さんとの最後の共演となるLet It Go,そして愛に溢れたGaano ko ikaw kamahalを終えて握手したときに言葉無くして伝わった思いも、ヴァイオリニスト白小路さんとの最後のグラズノフで交わした別れも、どれもどれも肌を 震わせるものでした。野人から威風堂々に至るまで、目が合っては時に微笑み、確信に満ちて演奏する奏者の皆さんを見ていると、このまま時間が止まれば良い のにという思いに何度も駆られました。

振り返ってみれば殆ど一ヶ月近くになる演奏旅行。成田からマニラへ出発したとき、セブの打ち上げでマイクを渡される時のことを想像して、その瞬間までは走 り抜こうと目標を確認したことを思い出します。ほとんど毎日棒を振り続け、様々なアクシデントも経験した一ヶ月でしたが、体調も気持ちも常に万全な状態の まま、目標とした瞬間を迎えることが出来たことに安堵しています。

 

打ち上げで話させて頂いたConvivialite、共に生き・共に食卓を囲んで笑うような精神を失わずに、音楽に関わることの出来る喜びと厳しさと幸せを身一杯に受け止めた日々でした。合計で200人近くの奏者の方々と出会ってステージを共有し、5000人以上の方々に聴いて頂いたのだということを思うと夢のようで、まだまだ纏めきれない事が沢山あるのですが、今はひとまず無事に帰国したいと思います。一緒に演奏して下さった方々、支えて下さった運営の皆さま、本当にありがとうございました。

 

 

ロビーコンサート。なんと15重奏!

君が代

Gaano ko ikaw kamahal (How much I love you)

最後のグラズノフ

指揮者体験コーナー。

フェルマータ。

全ての終わりに。