June 2014
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残響

 

 

今日はお世話になっているヤマハの発表会でステージマネージャーをさせて頂きました。

自分の出番が無いと楽かと思いきや、逆に気が張るものです。

椅子を並べ、譜面台を出し入れし、ステージへのドアを適切な呼吸とリズムで開ける。

少しでも奏者にストレス無く弾いて頂くためにはどうすれば良いか、と頭を使う感覚は、指揮しているときと共通しているものがあって

立ちっぱなしの七時間でしたが沢山学ぶ事がありました。と同時に、自分が指揮させて頂くコンサートの一つ一つが出来上がるために

どれほど多くの方々 の力に支えて頂いているか、改めて確認する時間ともなりました。こういうことをいつまでも心に留めておかねばと思います。

 

会場であった明日館は僕の師匠が愛したホールで、師の指揮するブラジル風バッハを初めて聞いた場所でもあります。

あのわずか数分によって僕の人生は決定的に動かされました。

悲しくもないのに涙が溢れて止まらない、一生忘れる事の出来ない時間。人間は棒一本でこんなことが出来るのかと絶句した時間。

きっとこのホールの壁のどこかに、あのブラジル風バッハが染みている。

思い出のハイドン・バリエーションが響き渡った終演後、人気が無くなった会場に佇みながら、五年前の秋のことを思い出さずにはいられませんでした。

 

はじまりの明日館