夏の終わり、秋の始まり。
そういう時期の明け方に譜読みをしているのが好きだ。
真っ暗だった外は深い青へと変わり、青の様子が次第に薄く移ろってゆく。
一目見た限りでは音符の羅列でしかない「楽譜」が「音楽」に変わり、音符に込められた言葉の意味が次第に見えてくる。
それが正しいかどうかなんて僕には分からない。
けれども、何かが見えてくるまで、その瞬間の快楽が訪れるまで楽譜と向き合い続ける。
ドイツに留学している友人が更新したばかりのブログを読んでしばらく休憩。
彼女の文章を読むと、僕はこの国にいつまでいるのだろうと考えずにはいられない。
今から七年先、2020年の東京オリンピックのとき、僕はどこで、誰と何をしているのだろう。
七年前の僕は浪人生だった。十九歳だった頃の自分は、七年後の自分がこうして過ごしていることなんて予想もしなかった。
同様に今から七年後の自分、三十三歳になった自分を想像する事はやっぱり出来ない。
けれども七年前と決定的に違うのは、七年後も必ず関わっていたいと思うものを見つけたことだ。
指揮。この限りなき魅力に溢れた芸術に。