東北で指揮させて頂いたオーケストラから再びお声をかけて頂いて、3月の東京チャリティーコンサートでまたご一緒させて頂くことになった。
100人近くいらっしゃるオーケストラを振ったのはこれが初めて。普段指揮しているドミナント室内管弦楽団(最大でも5プルト)とのサイズの違いに少し戸惑う。
指揮者用の椅子に座って、金管楽器の方々が随分遠くにいるものだなあと驚いた。
人数の問題ではないが、これだけ多くの人たちの時間や身体を預かっているのだな、と思うと改めて身が引き締まる思いがした。
至らない所も沢山あったと思うけど、その都度その都度出来る限りのことを濃密にしたい。大きな編成も受け止められるように視野と懐を広くしよう。
Sound of Musicメドレーの最終曲を振りながら、指揮という営みに関わる事が出来て良かったなと思うと同時に、
ボードレールの「音楽は天を穿つ」(La Musique creuse le ciel)という言葉がよぎった。
例えばG線の深い音が手元に膨れ上がって来るあのコーダを指揮している時よりも、あるいはブラジル風バッハ第四番の
音に感情が宿って凝縮し抜けてゆく「あの」瞬間よりも幸せな時間があるだろうか。
今まで生きてきた時間は短いものだとは言え、25歳の僕は、それ以上に幸せで心震える時間をまだ知らない。
二月がはじまる。
天を穿つような音楽を引き出せることを目指して、また虚心に学ぶのみ。