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フランソワ・オゾン「しあわせの雨傘」(原題:POTICHE )

 

「しあわせの雨傘」という映画を見た。

主演は「シェルブールの雨傘」で知られるカトリーヌ・ドヌーヴ。

シナリオ自体は単純な女性賛美なのだが、その描かれ方が非常に面白い。浮気を繰り返す夫は自分の妻(カトリーヌ・ドヌーヴ)だけは

貞淑な社長夫人、いわば「入れ物」だと疑わずに傍若無人な振る舞いを繰り返すが、その実、妻のほうが一枚も二枚も浮気に対して上手であるくだりなど、

思わずニヤリとしてしまう。その事実を聞いて呆気にとられる夫に向けて「長年の夫婦でも話題は尽きないものね。」と言い放って去るシーンの痛快さ!

 

そして妻の息子役を務めるジェレミー・レニエがとてもいい。髪型、髭、服装。すべてが似合っていて

こんな格好を出来たらいいなあと憧れてしまう。シェイプされたツイードのジャケットが素敵過ぎる。

「金にも名誉にも地位にも興味がない。興味があるもの?絵、美術史、カンディンスキー。」とクールに呟くところなど最高だった。

 

印象的だったのは作中に挿入される歌。この歌詞がまた素敵なのだ。

「最後のグラスを下げにくる給仕、私たちは死ぬほどぐったりして迎える。

朝の光が怖い、今日はどんな天気だろう。

雨の中を歩こう、人生を一巡りしよう。二人きりで、雨の中を。」

ああ、この朝の光が怖い感覚、そして同時に今日の天気が気になる感覚。凄く良く分かるし、何度も経験しているな、と思った。

 

ドタバタ続きのこの映画はこんな一言で締めくくられる。

C’est beau, la vie.「人生は美しい。」

モーツァルトのコシ・ファン・トゥッテを思い出さずにはいられない。

人生は何があるか分からないもので、そして何とでもなる。意志を持ち、一度きりの生を目一杯楽しもうとする限り。

 

 

 

 

子供のための音楽教室withプロオケ

 

またプロオケを振ることになりました。

自分のオーケストラでプルチネルラを指揮(12月17日)したその五日後に、某中学校の音楽教室でプロオケを振ります。

予定が極めてタイトなので僕自身の準備がかなり大変ですが、せっかく機会を頂いたのですから、精一杯やらせて頂きたいと思います。

曲目はチャイコフスキーの弦楽セレナーデなどが中心になる予定です。ちょっとしたトークもやります。

駒場祭のために特別に編成したチェロ・オーケストラ(11月)、自分のオーケストラ(12月,ドミナント)、プロオケ(12月)。

ヴィラ・ロボス、ストラヴィンスキー、チャイコフスキーと、年内にあと三回も指揮する本番があるなんて幸せな事ですね。