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抽象に戯れること。

 

「美の快楽を鎮めることができないのは、……太古のためである。……芸術は(ファウストがヘレナを連れ戻すように)

時間の深淵から美を連れ戻す。」(ヴァルター・ベンヤミン「ボードレールにおけるいくつかのモチーフ」より)

 

 

音楽、デザイン、哲学、身体。

抽象と具体の間を往復しながら、それでも抽象の領域に生きること。

抽象に戯れることを恐れず、具体化しきれない<なんだかわからないもの>としての残滓に惹かれ続けること。

ベンヤミンは手紙の中で、「バベルの塔を逆向きに建設する」という一文を残していた。

具体という石をひとつひとつ積み上げても精神=天に至る塔にはなりえない。

上からバベルの塔を作る。イデーという抽象を上から積み上げてゆく。それは決して根源=地面に

到達することはないけれども、それでいい。人間は社会や科学という具体に生きているかもしれないけれど、

人間の人間らしさは思考という抽象にあるような気がしている。

論理を超えた感覚は厳密な論理と同じぐらいかそれ以上に価値を持つ。少なくとも、僕にとっては。