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ある後輩の死に捧ぐ

 

夜10時。学校で作業をしている時に、後輩からかかってきた崩れ落ちそうな声の電話で、あなたが亡くなった事を知った。

新入生のあなたと出会ってから一年ばかり。

文学の世界観について情熱を持って語ってくれたあなたとはキャンパスであまり会うことは無かったけれど、

Twitterでいつしかフォローしてくれて、ディスプレイ越しに夜遅くまでその姿を見ることになった。

僕もたいがい遅くまで起きている人間だけれど、同じぐらいの時間まで起きていたあなたは

いつも自身の美的な価値観や恋愛という関係について悩み、苦しんでいるように見えた。

それは僕にはとても好ましく映ったし、共感できる部分も沢山あった。

ときどき言葉をかけるたび、慕ってくれるのが嬉しかった。

 

だが、もう悩みを呟くこともない。返事を返してくれることもない。あなたは黙ったままだ。

アカウントは残酷にも残り続けている。「フォロー中」という緑に光ったパネルが恐ろしい。

存在が消えてもなお、眼差しだけがそこに残っているような錯覚。

最後にあなたが残した呟き「わたしのことばは誰にも届かない。」が、あれ以来頭の中に鳴り続けている。

 

僕にはまだ「死」という事実を受け入れることが出来ないけれども、

憧れていた美の世界からもう二度と戻ってくることはないのだろう。

声も思い出せないぐらい遠い関係だったけれど、いつもあなたの文章を読んでいた。

安らかに。願わくはまたどこかで話せることを。