February 2011
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ヨーロッパ滞在記 その7 – コレージュ・ド・フランス -

 

フランスを経つ前日には、コレージュ・ド・フランスへ行ってきました。

僕のようにフランスの思想を専門にしている人間にとって、コレージュ・ド・フランスはちょっとした聖地みたいなもの。

訪れるのを楽しみにして、カルチェ・ラタンで下車。コレージュ・ド・フランスへ寄る前に、近くにあるノートルダム寺院を見て来ました。

ノートルダムの辺りには日本人の方も沢山いらして、久しぶりに日本語を聞いた気がします。ノートルダムは「すごいなあ。」という印象

だけで終わってしまったのですが、帰国してからインタビューさせて頂いた照明デザイナーの石井リーサ明里さんが

このノートルダム寺院のライトアップを手掛けられたのだと聞いて、あとから驚きました。

 

さて、コレージュ・ド・フランス。ソルボンヌ大学の向かいにあって、ちょうどその日は「フランスの文化公開週間」みたいなものに当たって

いたようで、中まで入ってみる事が出来ました。かなりの行列が出来ていたのですが、ここを訪れないわけにはいかないので、フランス人

に混ざって(アジア系は僕だけでした)並ぶこと一時間、ようやく敷地内に入ります。ホールではブーレーズの講義動画などが流れて

いて、ああこのホールでレヴィ・ストロースやフーコーが講義をしていたのか、と思うとちょっと感無量。まさにここで、世界最先端の

「知」が語られていたのです。ここで講義を受けられる日が来たらいいのにな、そのためには語学をもっとやらないと聞きとれないな、

などと思いながら、二回もコレージュ・ド・フランス内をぐるぐると回ってしまいました。

 

あとで気付いたのですが、コレージュ・ド・フランスの入り口の近くの花壇のような場所には、それぞれ名前がついていて、

その一つが「ミシェル・フーコー スクウェア」となっていました。自分の名前がついたスペースがコレージュ・ド・フランスの

前にあるなんて素敵すぎますね。

 

そのままソルボンヌ大学の近くのカフェに入り休憩したあと、シテ島とサン・ルイ島まで足をのばしました。

シテ島はざわざわとしていて観光客が沢山いたようですが、サン・ルイ島まで歩くと一気に静けさが訪れます。

歩き過ぎて少し疲れたこともあり、川べりのベンチに座って、本屋で買ったばかりの本を開きながら、ゆっくりと静かな時間を

過ごしていました。と言いつつ、サン・ルイ島の通りは素敵なお店ばかりで、つい散財してしまったことを付け加えておきます(笑)

 

そこから、ルイ・フィリップ橋を渡ってリヴォリ通りを歩きまくります。

オテル・ド・ヴィルからセント・ポールまでの間には可愛いお店がいっぱい。僕の好きな文房具屋さんが沢山あって、思わず

財布の紐が緩くなってしまいました。

 

最後に、そのまま歩きに歩いてポンピドゥーセンターへ。現代アートのような外観で知られるレンゾ・ピアノのこの建築には

もちろん驚かされましたが、いちばん印象的だったのが、ポンピドゥーセンター前の広場の活況。

手品をやっている人がいたり、ヴァイオリンのソロ演奏をしている人がいたり、大道芸をしている人がいたり。

それを傾きつつある陽を浴びながら、みんな地べたに座って思い思いに楽しんでいるのです。いいなあ、と心から思いました。

広場ではカップルが堂々とキスをしていましたが、それがこの街・人では不思議と絵になる。そのままキスをしていてほしいなと

思うぐらい、彼らは都市の中に溶け込んでいました。さりげないけれど細部に配慮された美がこの都市には息づいています。

 

ここまで歩いたところで、充電のためにいちどホテルへ。

もう辺りはずいぶん暗くなっていて、フランス最後の夜がすぐそばにやってきていました。