December 2009
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12月の満月

 

 今日は月がびっくりするぐらい大きく、明るかったですね。今まで見た月で一番迫力があったかもしれません。

空気も澄んでいたので表面の模様までよく見えて、しばらく見とれてしまいました。

以前にギリシャ哲学の大教授がおっしゃっていた、「太陽はあんなに明るく大きいのに地上の我々から見れば

空にある太陽は足の幅の大きさのように見える。それは、本来の大きさだと我々はその輝きに目を

見開くことができないからだ。これは〈真理〉と似ている。真理が眼前にあると、真理が放つ光が激烈過ぎて

我々はそれに目を見開くことができない。だから真理はとても遠くにあって、その弱い光を我々は見ているに

過ぎない。だが、哲学するものは、みずからの身を焦がすことを恐れず、眩しすぎる真理へと挑んでいく。」

という言葉をなんとなく思い出しました。

 

まあそんなわけで、先日の記事が固かったので今日は近況を軽く書いておくことにします。

 

・立花ゼミ

先生方と国際関係論と音楽とデザインについての喧々諤々の議論(?)をやっている間に

今日のゼミの時間が終わってしまい、今週はゼミに出ることができませんでした。ちょっと悲しい。

立花ゼミの「二十歳の君へ」書籍化企画が着々と進んでいる中、その企画の一環として

「立花隆対策シケプリ」を作る予定なのだが、それについてゼミ生がどの分野を担当するか決めやすいように

各自の得意分野・専門分野をメーリスに書いて流したらどうか、という提案をしようと思っていましたが

言う機会を失ってしまいました。まあここに書いておけば何人かは読んでくれるでしょう。

あと、僕が細々とやっている芸術企画の一環として「香り」について問うプロジェクトをやろうと思っています。

ただいまインタビュー先のリストアップ中です。

 

・ボウリング

かなり安定してきました。210アベレージをここ数週間コンスタントに維持できており、プロにも二連勝しました。

ホームにしているセンターのレーンはかなり遅く結構荒れていることが多いので、回転数の多い僕にとっては

結構苦しむレーンなのですが、無理せずボールを走らせる技術をようやく完全に会得した気がします。

あとはスコアの振れ幅を出来るだけ小さくしていく(ちょっと前には245の後に128を出しました…。)ことが

必要ですね。あんまり崩れてしまうと、精神的に次のゲームがきつくなるので、ローゲームは180ぐらいまでで

留めておきたいところです。

 

・フルート&指揮

フルートは中音域を響かせるコツというか、息を当てるポイントが掴めてきた気がします。

適当にそのへんの曲を吹きながら、オクターブの練習をひたすらやっています。

指揮は練習曲その1にじっくりと取り組み中。「もっとスマートに振らなきゃ。」と帰り際に師匠に言われて、

「スマートって一体何だ・・・。」と帰りの電車で考え込んでしまいました。「もっと自然に!」というのも

師匠から良く言われることなのですが、こちらも中々難しいことですよね。力が入ってしまっているのは

自分でも分かるときはありますが、かといって力を抜くのはとても難しい。ですが、この「脱力」こそが

指揮の奥義の一つの筈なので、なんとかしてこれをマスターせねばなりません。何年かかることやら・・・。

 

・本

ここ数日かけてブルデューの『ディスタンクシオン』(藤原書店)を上下二巻読み切りました。

ブルデューの議論に通底するものは、一言でいえば「再生産」だと思います。

この本でも、ディスタンクシオン(卓越化)という言葉と、「ハビトゥス」という概念を用いて、個人の「趣味」が

本人の自由意思のみに基づいて形成されるものではなく、個人の職業や社会的階層、あるいは

両親の職や学歴や環境に大きく規定されていることが明らかにされます。有名な例では、一巻の第一章に

ある、「好きなシャンソン歌手・音楽作品」と「所属階級・学歴」の相関表。シャンソンのことはよくわからない

ので、シャンソン歌手との相関については何とも言えないのですが、音楽作品として挙げられている

『美しく青きドナウ』『剣の舞』『平均律クラヴィーア』『左手のための協奏曲』だけを見ても、上流階級・知的職

になるに従って『平均律クラヴィーア曲集』を好む人の割合が増え、一方で庶民階級は『美しき青きドナウ』や

これに続いて『剣の舞』を好む人が多いというデーターがあります。このように諸作品につけられた価値の

「差異」が学歴資本の差に対応している、とブルデューは結論付けます。そしてこうした文化の価値は

「フェティッシュの中のフェティッシュともいうべき文化の価値は、ゲームに参加するという行為が前提として

いる最初の投資のなかで、つまりゲームを作りだすとともに闘争目標をめぐる競争によって絶えず

創りなおされるところの、ゲームの価値に対する集団的信仰の中で生まれてくる。」(P.386)と言います。

 

 なかなか分厚い本ですが、最後まで息切れせずに読ませる面白さをこの本は持っています。

名著と呼ばれて久しいのも納得です。興味がある方や社会学部に進学される方は是非読んでみてください。

立花ゼミの「貧困と東大」企画の参考になるかもしれません。

 

というわけで次は『ルーマン 社会システム理論』(新泉社)へ。第三者の審級概念についての大澤論文を

読んでいて、自分のルーマンのシステム論への知識が圧倒的に不足していることを痛感させられたので

12月はルーマンを集中的に攻めたいと思っています。まずこの概説書を読んでから、次に

長岡克行『ルーマン 社会の理論の革命』へ、そして馬場靖雄『ルーマンの社会理論』を読みつつ

ルーマン自身の著作に取り掛かる予定です。それから冬休みにはカール・ポランニーの『大転換』と

ちくま学芸文庫から出ている『経済の文明史』と『暗黙知の次元』を読む予定。あとずっと読みたかった

東浩紀『存在論的、郵便的 -ジャック・デリダについて-』も読みたいですね。浪人中に立ち読みしてみた

もののさっぱり理解できず、「これはもっと勉強してから読もう・・・。」と諦めた経緯があります。

サントリー学芸賞受賞作は分野問わず全て読もうと企んでいるので、やっぱり本作を外すわけには

いきません。再チャレンジします。

 

学術書ばかりになってしまいましたが、小説では上橋菜穂子『獣の奏者』を読んでいます。

まだ一巻の途中ですが、段々面白くなってきました。このあとの展開が楽しみです。

 

・モノ

PILOTから出ているバンブーという万年筆が今年の夏に廃番になっていたことを知りました。

夏にはまったく欲しいとは思わなかったのですが、廃番と聞くとちょっと欲しくなりますね。

とくにMニブの青軸は有名どころの文具店では軒並み完売だそうです。意外と地方の文具屋さんでは

残っていたりするかもしれませんね。もし発見された方がいらっしゃったらご一報下さい。