『ぼくらの頭脳の鍛え方』を読んだ。
おそらく世界最速レビューだろう。それもそのはず、この本はまだ発売されていない。(発売日は今月20日ごろ)
今日の立花ゼミで何気なく立花先生が下さったので、ゼミの時間中に隙を見つけて読み切ってしまった。
内容は立花隆と佐藤優の対談形式から成り、話の中でお互いがお勧めの本を紹介しあっていくというもの。
立花隆『ぼくはこんな本を読んできた』を二人で対話しながら書いているような感じである。「本を紹介する本」は、ともすれば退屈で
独りよがりなものになってしまいがちだが、この本は全く違う。挙げている本が参考になるのはもちろんのこと、
その情報量が非常に濃いし、何より二人の対談がとても面白い。細木数子について取り上げているくだりでは、ついついニヤニヤ
しながら読んでしまった。このようにちょっと小ネタに話を移したかと思うと、その小ネタに関連する本へとすぐ話が移ってゆく様子は
まるで友達と雑談しながら本棚の前をうろうろしているようだ。本を肴に会話を楽しんでいる。
このような会話こそ、「知的」と呼ばれて然るべき会話の形の一つだと思う。
ここに挙げられている400冊の本を学部時代に読み切っておこうと決心し、未読のものをamazonでカートに突っ込みまくった。
当然お金が心配になってくるが、この本の中でお二人は「買おうか迷ったらとりあえず買う。本を買うのを惜しむな。」ということを
言っておられるし、その通りだと僕も思うから、金銭的問題は考えないことにする。(もちろん後で必死に仕事する羽目になるのだが)
とにかく良い本でした。この一冊から沢山の本へと手を伸ばしていくことが出来る、「知の起点」となる一冊だと言えるでしょう。
立花ゼミもだんだん熱が入ってきて面白くなってきた。駒場祭で立花ゼミが行う企画のために、一般の方から
『二十歳の君への宿題』と称して「二十歳の間にこれをしておけ!」というメッセージを集めることになった。
これはもうすぐゼミのHPにメールフォームを設置して(技術班の方々いつもお世話になってます。)そこに書き込んでもらうことで
集めるつもりだ。このブログを読んで頂いている方で、20歳以上の方はぜひご協力ください。
立花ゼミ関連以外では、Claude Lévi-StraussのAntholopologie Structurale(邦訳『構造人類学』)を読むのに必死。
原書で読むと本当に時間がかかって途中で投げ出したくなることもしばしばだが、原書でしか分からないニュアンスやユーモアもあるし、
何よりフランス語のとても良い勉強になる。語学に堪能な人は「とにかく読んで読んで読みまくることがあらゆる語学の上達のコツだ。」
とよく言うが、確かにその通りなのだろう。「読めるようになるために読む」ことが必要なのだ。
指揮のレッスンも順調に進んでいる。今日は振ることばかりに頭が行っていて、静から動に移る瞬間、すなわち振り始めに意識が
足りていない事を指摘された。「二拍目の打点を低くしないように気をつけて振ろう。あと四小節目で柔らかく振らないと。」
などと振り始めてからのことばかり考えている僕を見透かしたように、「振る前、構えたところから音楽は始まっているんだよ。」と
言われて、とてもビックリした。先生には僕らには見えない「何か」が確実に見えている。
「何か」が見えるようになるためには、幾つの壁を超えなければいけないのだろうか。先は長く、遠く、果てしない。