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谷川俊太郎+吉村和敏『あさ』(アリス館,2004)

 

 谷川俊太郎による詩と吉村和敏による写真とのコラボレーション、『あさ』を読んだ。

「ひかりにくすぐられて」なんてフレーズには流石の一言。「朝のリレー」という詩の中盤、

 

この地球では

いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ。

経度から経度へと

そうしていわば交替で地球を守る

 

には「いいなあー」と呟かずにはいられない。

写真も朝の光やグラデーションを見事にとらえた透明感に溢れるもので、詩との相性が素晴らしい。

最後に置かれた「美しい夏の朝に」を読んでいるうちに、ランボーのAube「黎明」を思い出した。

 

J’ai embrassé l’aube d’été.

Rien ne bougeait encore au front des palais. L’eau était morte. Les camps d’ombre ne quittaient pas la route du bois. J’ai marché, réveillant les haleines vives et tièdes, et les pierreries se regardèrent, et les ailes se levèrent sans bruit…

 

(僕は夏の黎明を抱きしめた。

宮閣の奥ではまだ何物も動かなかった。水は死んでいた。陰の畑は森の道を離れなかった。

僕は歩いた、鮮やかな暖かい呼吸を呼びさましながら。

すると宝石たちが目をみはった。そして翼が音なく起きいでた。…)

 

ランボーの詩とともに、「よがあけて あさがくるっていうのは あたりまえのようでいて じつは すごく すてきなこと」

という谷川俊太郎のあとがきが深く染みてくる。