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HOMMAGE à PIAZZOLLA (Gidon Kremer,1996)

 

 ピアソラと言えば、Libertangoの演奏を思い出す人が多いかもしれない。

確かにリベルタンゴには何度でも聞きたくなる高揚感がある。最初の速いパッセージからノリノリで、弾いていても凄く気持ちいい。

文句無しに良い曲だ。だが、ピアソラにはもっと良い曲が沢山ある。これを聴かずして死ぬわけにはいかない、というわけでこのCD。

 

 このCDには、ピアソラが残した素晴らしい曲の数々が、クレーメルのヴァイオリンをメインにしたアレンジによって収録されている。

クレーメルはどちらかというと「ドライ」な音を出すヴァイオリニストとして有名であるが、このCDではドライな中に、時折物凄い色気を

含んだ音を聴かせてくれる。甘ったるい感じではなく、流し目のような色気である。

 

Hommage a Piazzora (Gidon Kremer)

3番のOblivionの憂鬱、4番のEscualoの心地良さは何度聞いても忘れ難い。

6番のConcierto para quintetoの高揚感と哀愁の対比なんか最高だ。

Paul Meyerのクラリネットが良い味を出している。

Concierto para  quintetoは自分でも演奏してみたいと思い、

適当に音を採ってバイオリンで合わせてみた事があるのだが、

リズム、ニュアンスのつけ方ともに全然上手く行かず挫折してしまった。

このCDの最後、7分41秒ぐらいからの部分だけでも上手く演奏することが

出来たらどれだけ幸せだろう。もっと昔から弦楽器を習っておけばよかった。

なんにせよ、このCDはおススメの一枚である。

夜中にひっそりと聞くと良い気分になれると思う。

きっと聴き終わった頃には8番のBuenos Aires hora ceroのテーマと加速感が

耳から離れなくなっているはずだ。

 

Gardiner&BilsonのMozart Piano Concerto No.6,7&10

 

 GW最終日は残念ながら雨の一日になりそうだ。今日は大人しく家にいることにしよう。

 というわけで、開封したばかりのグァテマラで熱い珈琲を淹れたあと、棚からこのCDとスコアを引っ張り出してきた。

Mozart Piano Concertos No.6,7&10(Gardiner,Bilson,Levin,Tan)

 
 モーツァルトのピアノ協奏曲、6番と7番(三台ピアノ)と10番(二台ピアノ)。
グラモフォンより、1987年の録音。
ガーディナーの指揮で、ピアノはビルソンとレヴィンとタン。
いずれもフォルテピアノを用いた古楽演奏である。
  
 モーツァルトのピアノ協奏曲には数多く名盤があると思うが、
フォルテピアノを用いた演奏の中ではこれが一番好きだ。
軽やかでいて、陰影に富む。
さらっと駆け抜けるように聞こえて千変万化するニュアンス。
三台ピアノの掛け合いは聴いていて最高に気持ちいい。
10番の二・三楽章なんて何度聴いても飽きない。
 
  
 僕はこのコンビ(とりわけビルソン)のフォルテピアノの音を聴くたびに、
いつも「米」を思い浮かべてしまう。丸くてポロポロっとした音、ふわっと膨らんで
きそうな優しい音が白米のように感じるのだ。(七番の一楽章などは特に。)
グランドピアノで演奏した時の光る粒を転がすような音ではなく、
ここにあるのは艶消しされた乳白色の音の粒である。
管弦楽もザクザクっとした魅力に溢れており、決して重苦しくはならない。
 
 6番や7番などは他のピアノ協奏曲に比べてマイナーな部類に入るだろう。
だが、有名な20番や27番に負けない素晴らしい魅力を湛えている。
 
  
  
 是非聴いてみて下さい。雨の日でも思わず笑顔になってしまうこと請け合いです。