尊敬するヴァイオリニストの方が主催する弦楽合奏団のリハーサルを見学させて頂く機会に恵まれた。
エルガー、レスピーギ、チャイコフスキー。エルガーを除いてどちらも本番で指揮したことのある曲だ。
自分のものとしておきたいので敢えて細かくは書かないが、勉強になったという一言では到底尽くせないほど充実した時間だった。
ヴァイオリンの弓はこんなに豊かに使うことが出来て、楽器はこんなふうに鳴らす事ができるのだ。
音楽の全体的なイメージを共有した上で奏法に変換していく。その手際の良さとバリエーションの豊かさ。
会話をするときの和やかな雰囲気と弾き始めてからの獲物に飛びかからんばかりの緊張感と激しさ。
どこまでもストイックで誰よりも謙虚。プロ中のプロ、とはこういう人のことを言うのだと思う。
一度共演させて頂いただけなのに僕のことを覚えていて下さって、固く握手して下さったのが何よりも嬉しかった。
色々なオーケストラで指揮させて頂くようになったからこそ、現場ならではの問題に直面し始めている。
どうやったら上手く伝わるのか。どうやれば音楽を効率よく、具体的に作って行けるのか。
師のレッスンを一回一回大切にしながら、今年は沢山リハーサルを見学して音楽の作り方を「盗む」一年にしたい。