December 2011
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コマバ・メモリアル・チェロオーケストラを終えて

 

2011年駒場祭特別演奏会として指揮した、チェロオーケストラのヴィラ=ロボスコンサートを無事に終えました。

別の公演のリハーサルに忙殺されていて、今回のコンサートの宣伝は当日の朝に学内にビラを三枚貼っただけなのですが、

開場前には長蛇の列が出来ており、また終わってみると200人近くの方々が聞きに来て下さっていました。

 

後から知った話ですが、駒場祭コンサートランキングの一位に公演の二日前(つまり駒場祭初日から。駒場祭は三日間行われていて、公演自体は最終日だったのです。)

からずっとランクインしていたそうで、実は結構注目度が高かったのかもしれません。普段授業が開かれている教室でしたから響きはホールほどでは無かったかもしれませんが、

演奏としては今の僕に出来る限りの演奏になりました。

 

一楽章の終わり。地鳴りのするような深い深い音と共に、弓を離しても指揮棒を振り抜いても、ビブラートの目一杯かけられた音がその場の空気を揺らし続けていました。

そして二楽章では、沈み込むようなpppのあと、世界から人が消えてしまったのではないかと思えるような静寂を作り出し、その身を浸すことが出来たように思います。

三楽章の次々に積み重なって行くフーガを指揮しながら、「ああ、この瞬間はもう二度と来ないのだな。」と思えて、心に迫ってくるものがありました。

 

公演のあと、沢山の方々が感想を直接あるいはメールで下さいました。

その中の一つを、ご本人さまの許可のもと、ここに紹介させて頂きます。

 

身体の底まで震えるような共鳴、豊かな節回し。

荒々しく、推進力に溢れていて、叙情的で、壮大だ。ブラジル風バッハ一番はCDで何度か聞いていた事があったが

生で聞いたのは初めてで強い衝撃を受けた。そして今まで聞いたどの演奏とも違った。

まさか東京大学の学園祭でこのような曲を、このような演奏を聴く事ができるとは!

八人のチェリストの皆さんに心から拍手を送りたい。この曲は実際に聞かなければ凄さが分からない。

一度限りと言わずに、これからも、いや、これから何度でも演奏を続けて頂ければと心から願う。

 

そして指揮の木許裕介さんのその鮮やかな指揮ぶり!彼が現役の大学生だと知って驚愕した。

これほどまでに見事な指揮をする学生が東京大学にいるのか!

一振り一振りに溢れんばかりのエネルギーと万感の思いが込められていて、

彼がどれほどこの曲を把握し、大切に思っているかがその背中から苦しいほどに伝わって来た。

動きを見ているだけで曲に引き込まれてしまうような指揮。

楽器を弾くものとして、彼の棒で演奏してみたいと心から思う。そしてまた、演奏するならば、あの指揮に

しっかりと反応できるような技術を身に付けて臨みたいと思った。

11月の駒場に響いたブラジル風バッハ一番を生涯忘れる事は無いだろう。

 

 

その他にも、「ヴィラ=ロボスなんて知らなかったしチェロ八本のアンサンブルを聴くのは初めてだったけれど、

こんなに良い曲があるんだと感動しました」と言う感想も頂けて嬉しかったです。

僕の師はヴィラ=ロボスの音楽を日本に広げることに力を注いでいましたから、もうヴィラ=ロボスを振ることが無くなった師の

弟子として、少しでもこのブラジルの豊かな音楽を広げることが出来たとあれば、幸せここに尽きます。

 

一度きり、のはずでしたが、毎年やってほしいという声を沢山の方々から頂きましたので、また五月祭や来年の駒場祭でも何か

チェロオーケストラでやってみるつもりです。ヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ」には、チェロ八本とソプラノで演奏する

「ブラジル風バッハ五番」という曲もありますから、次はそれもいいかな、なんて考えています。

聞きに来て下さった方々、本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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