明日に本番を控えて、あるアンコール曲の、自分のはじめての演奏動画を四年ぶりに見た。
なんと素敵な仲間たちと演奏できていたのだろう。棒にどれほど反応してくれていることか。
何よりも自分の未熟さに苦笑しつつ、ひたむきな必死さに何故か泣けてくるのだ。
全身でそこにある時間を味わい、棒を振ることを通して「何か」を生み出そうと格闘している精一杯の自分がいた。
それは拙いが、決して醜くない。いつまでたってもこれが原点であり続ける。
節目が訪れるたびに僕はこの曲を取り上げるだろう。そして、そのときにはいつも、演奏前夜にこの最初の動画を見直すことだろう。
明日は明日にしかない演奏になることを確信する。
あれから四年経ったいま、こうして棒を振ることが出来ることに、この曲を再び演奏することが出来ることに心の底から感謝しながら。
別れと出発を告げる響きよ、明日の一瞬に宿れ。