あけましておめでとうございます。
大晦日に一年のまとめをしようかと思ったものの、譜読みに集中したりバタバタ片付けをしたりしている間に2015年になってしまいました。
昨年は海外含め26回のコンサートを指揮させて頂き、修士論文を提出するというハードな一年でしたが、体調を崩さず過ごせたことに感謝しています。
しかし何より大きかったのは12月に師匠を亡くしたこと。悲しみは未だ消えませんが、それを直視しなければ僕の2015年は始まらないと思えて、
元旦の朝には師匠から頂いた日本酒(木許にはこれだ、と旅行の際に選んできて下さったもので、飲みきるのが惜しくて少しだけ残してありました)を
コートのポケット に入れて新幹線の始発に飛び乗り、早朝から湯沢に登ってきました。
本当は山頂で朝陽を見ながらと思っていたのですが、現地は大雪だったため、ひとまずガーラから石打へ向けてしばらく滑走。
午後になると少し晴れ間が見えた ので、眼前に広がる魚沼平野を見下ろしながら最後の一口を頂きました。涙が出るほど美味しかった。
そして、ベートーヴェンの「田園」を教わったときの「君は田園の景色をまだ知らないねえ」と笑うあの声が聞こえたような気がして、しばし呆然。
時間だけが容赦なく流れて行く….。
Je partirai! /Steamer balançant mâture, /Lève l’ancre pour une exotique nature!
(出で立とう!備わる帆柱の総てを揺振っている蒸気船よ、異国の自然を目指して、いまこそ錨を掲げるのだ!)
——マラルメの「海の微風」を思い返し、ひとつの決意を固めてから、一気に麓まで滑り降りて帰りの新幹線に。
今年は出発の一年になりそうです。2015年もどうぞよろしくお願い致します。