たとえばそれは、ある種の失恋に似ている。
一年間愛し続け、あの美しい木のホールに響かせることを夢見続けた曲が、直前になって演奏できなくなった。笑顔を続けることが出来なくなった。
けれども演奏者の皆さんが個別にメールを下さる。少ない人数でも、条件の整わないリハーサル環境でも、何とかできる事をと思って奮闘し続けた一年間だったが、
僕のやって来た事は間違いではなかった、と少しだけ安心する事ができた。それだけでほんの少し、救われた気持ちになる。
一年間かけてゆっくりと、ゆっくりと、ようやく心が繋がりはじめたのに。ああ、あの人たちと一緒にステージに立ちたかったなあ。