キットラーの『グラモフォン・フィルム・タイプライター』と格闘して、ジェラルド・フィンジを弾いたあと、休憩がてら春の夜を歩く。
既に散り始めた桜を浴びる。周囲の環境の変化に焦らずに一歩ずつ踏みしめて行こう。
春宵一刻直千金 (春の夜は、わずかな時間であっても黄金千金の値打ちがある)
花有清香月有陰 (花はさわやかな香りを放っているし、月には朧げな暈がかかる)
歌管楼臺聲細細 (歌声や笛の音が響いていた高楼も、今やひっそりと静まって)
鞦韆院落夜沈沈 (あとに残されたものはぶらんこ。ぶらんこがかけられた中庭に、夜はしんしんと更けゆく。)