January 2013
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グリーグと「茶弦」リハーサル

 

一緒に演奏して下さったことのある奏者たちが何人か所属されている、お茶の水管弦楽団の室内楽コンサート「茶弦」の

リハーサルに遊びに行ってきました。学生指揮でグリーグの弦楽アンサンブル曲「ホルベアの時代より」をやるそうで、

その指揮を少し見てほしいという話を頂いた事からお邪魔する事になりました。

僕のような駆け出しの棒振り見習いを温かく迎えて下さり嬉しかったです。

 

グリーグのこの曲は、指揮を習い始めて一年少しした時に振ったことがあるのですが、指揮のアドバイスをするにあたって

そのときのスコアを引っ張りだしてきたものの、スコアの書き込みを見ただけで当時の自分が何にも分かっていなかったことが

痛いぐらい分かりました。棒の技術的な問題が伴わなかったのはもちろん、この曲に宿っている「霊感」としか言い様のない

雰囲気や音色を何にも掴めていなかった。

あるいはサラバンドがどういう踊りであるか、グリーグのアーティキュレーションがどんな意味を持つかということも。

もちろんそれは今も不足したままですが、少なくとも以前より見えるものは増えたし、

自分が何にも分かっていなかったことを分かることは出来るようになっていました。音楽に完成や完璧という次元が無い以上、

こうした無知を知る経験を重ねていくしかないのでしょうし、過去の自分に「ぜんぜんダメだ!」と言えなくなったら、それはある意味で

成長が止まったという事なのかもしれません。そうならないよう、常に至らなさに気付き、至らなさと向かい合って行きたいものです。

 

リハーサルでは、指揮をする上での基本的な(しかし重要な)いくつかのアドバイス

- 不必要な動きを削ること、予備運動で音が決まっているということ、音を受ける間を作ってあげることなど -

と、パート間のバランス、それからアーティキュレーションの意味についてなど、チェロパートの中に一緒に入らせてもらいつつ

要所要所で思う所を伝えさせて頂きました。(ただし、彼らの作ってきた音楽の邪魔をしないよう、彼らの考えるテンポやイメージに出来る限り添うような形で)

それにしてもちょっとした意識の持ちようで音楽に流れが出てくるのだから、音楽は不思議なものですね。

こうして自分が指揮することなくリハーサルに参加しているというのは物凄く得るものが大きくて、弾かずに-振らずに後ろから見ていると、

今、何が問題で何がどうなっているのかということが良く分かります。たぶん今回のリハーサルで一番勉強させて頂いたのは僕でしょう。

僅か一回のリハーサルでどれぐらい力になれたかは分かりませんが、とにかくお声をかけて頂いて有り難かったです。

今日のような、アンサンブルを練り上げていくためにはどういう道のりを辿り・作れば良いかという勉強も今年は沢山重ねていきたいと思います。

 

練習後は団員の方々にお誘い頂いて飲み会にご一緒することに。

行きつけだというそのお店は中々シブい立ち呑み屋さん。あんまりにも楽しくて、皆さんと思わず終電近くまで音楽トークに華を咲かせ、

マーラー九番いいですよね!とホルンの方と固く握手をして電車に乗ったりと、新しい出会いとともに幸せな時間を過ごさせて頂きました。

第二回「茶弦」、1月20日に紀尾井ホールの小ホールだそうです。グリーグの他にも魅力的な曲が満載のコンサート、素敵なステージになりますように!