「遊び人」という職業がドラクエにあったのは凄いことだなあ、と今この年になって思う。
ドラゴンクエスト3の場合、遊び人はレベル20になると特別なアイテムなしに「賢者」になることができる。
これは非常に意味深い。なるほどという感じだ。 つまり、遊び人が賢者になるのは、これまでの行いを悔いたからではなく、行いの蓄積の結果として英知を有したからである。
遊び人は対人関係から自然と悟りへ至る故に、他職から賢者になるには必要なアイテム(=境界を飛び越えるもの)「悟りの書」を必要としない。
すなわち、遊び人と賢人は逆の方向にあるものではなく、まさに遊び人と賢人こそが、唯一近しい位置にあることが示されている。
レベル1を10歳とすれば、レベル20はおよそ30歳。
30歳までずっと遊び人でいることは難しいことだ。
定職についてレベルを上げていく仲間を横目に、遊び人は役に立てない申し訳なさや先行きの見えない恐れを乗り越えなければいけないだろう。
しかし、道化のように笑いながらも自らの意志を譲らず、ひたすらに遊びの道に徹し、ぎりぎりまで弓を引き絞ったとき、他の人には真似のできない豊かな世界が展開するのだと思う。
30歳まであと5年。そのとき僕は、何者かになれるだろうか。