今年もまた、プロ・オーケストラの前で棒を振る。
演奏会直前になると授業や卒論のことなんて一時的にどうでも良くなってしまうのは避け難い。
頭の中で、どの瞬間も音楽が鳴っている。ぼんやりと自分の時間にいるときはもちろん、
本を開いている時も、人と話しているときすらも、ブラームスのあの寄木細工のようなバリエーションが響いて離れない。
本番を迎えることが楽しみで、同時に、終わってしまう事を恐怖する。
一度しかない時間だから、その一度だけの瞬間に、それまでの僕の全ての時間を集めたいと思う。
変奏の終わりに。(2012.5.5 演奏:SEN室内オーケストラ 指揮:木許裕介 写真:栄田康孝)