音楽は楽しい。だが、音楽を楽しく出来る環境を整えることは大変だ。
指揮者はリハーサルでも本番でも、常に自分の最高の状態で指揮台に立たなくてはならないし、
譜読みの段階でも、冷静に頭を働かせ、楽譜に全エネルギーを賭して向かい合う必要がある。
だが、現実には様々な要素が僕を惑わし、揺らす。まっぴらだ。一人静かに楽譜だけ抱いて孤独の中に沈み込み、
誰にも何にも邪魔されずに没頭することが出来ればどれほど良いか。
現実が襲いかかる。けれども、何があっても冷静に、そして笑っていなければならない。
立ち止まって溜め息をつく時間はない。