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ハイデガーの面白さ。

 

ハイデガー、というのは僕にとって近付き難い哲学者の一人でした。

『存在と時間』の邦訳は浪人していたころから持っていたし、色々な文脈でハイデガーの名前が出てくるにつれ

「読まねば」と思い続けていたのですが、それでも「しかし僕にはまだ早い。」という思い込みで遠ざけていました。

 

ですがこの春から休学してから、ドイツ語読解力を落とさぬようにと『存在と時間』の原著Sein und Zeitを一日に一ページずつ、

色々な解説本を参照しながらゆっくりゆっくりと読み始めていました。

論が進むにつれて「どうしてもっと早く読まなかったんだ!」と叫びたくなるぐらいの衝撃に駆られます。

ああ、当時/後世の思想家や哲学者たちに(あるいはナチスに)影響を与えたのも頷けるな、と。

 

最終的に「共存在」が民族や共同体と接続されていくところはやはり納得できませんが、それを抜きにしても

やはりハイデガーは読まなければならない。そして今まで色々な思想家(たとえばナンシーの『無為の共同体』)の

著作を読んできましたが、その中にはハイデガーを理解しないことには理解出来ない(何が本当に問題なのかが分からない)ものも

沢山あったことに気付き、自らの不明を恥じました。僕は何にも分かっていなかった!(そして、きっと今も。)

夏の間にハイデガーのこのSein und Zeitを何とか一通り読み終えて、もう一度ナンシーやリクールを読み直してみるつもりです。

同期の友人たちはみな卒論に追われつつも、就職も次々と決まって社会人へとその歩みを進めつつあり、

その様子を見ていると少し自分の現状が不安になりますが、その一方で、こうして休学という身分を利用して

ゆっくりとハイデガーを一人で読み進めることが出来る時間を得られたのは、かけがえのないことだなと思っています。

 

 

現在、朝の五時。暑いけれども今日はとても天気が良いようです。

アイスコーヒーを淹れて、ハイデガーの邦訳とウェーバー「舞踏への勧誘」のスコアだけ持って

携帯も財布も家に置いたまま、公園に寝転がって、陽射しが眩しくなるまで読んでくることにします。

音楽も思想も文章も同じ。所属しないことを楽しみながら、一年間をゆっくりと、

自分が本当に学びたいもののために捧げたいですね。

 

 

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