§5 おわりに
市川先生は流れるように話す。そして、流暢なだけではなくユーモアがあって、フレンドリーだ。今回の講演会でもそんな市川先生の語り口は健在で、お話を聞いていてすごく面白かった。文学への思うところがあり、色々考えているからこそ、あんな風に話せるのだと思う。そんな先生の話を駒場祭で聞くことができて、とても良かった。
しかし、市川先生は一つの視点を僕たちに提示してくれただけではなかった。今回の講演会で、市川先生は問題をはっきりさせてくれた。つまり、これからの時代の文学は、過去の遺産を引き継いだ僕たちが、苦しみながら、考えて考えて作り出していくしかないということ。
社会構造が大きく変化していく中で、僕たちも、そして文学も変わらざるを得ない。けれども、その舵をとって変化を良いものにすることはできるのだ。これからの時代を担う人間として、このメッセージは胸に響いた。
最後になりましたが、今回は、打ち合わせの際にこちらの希望を受け止めてくださったうえでご提案をくださったり、文学フリマや早稲田大学の授業の場で本講演会の宣伝をさせてくださったりと、市川先生には準備の段階から大変お世話になりました。御礼申し上げます。
吉川 裕嗣