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 東京食肉市場(芝浦屠場)にいってみた

※本記事は屠殺について触れます。画像は出しませんが、苦手な方はご注意ください。

品川駅港南口から徒歩1分、SONYの超高層ビルの目の前で、牛舎で嗅いだあの匂いが体験できる。

港区のオフィス街が立ち並ぶ中に、その存在を主張しているその建物こそが、東京食肉市場、通称芝浦屠場である。

元々は東京各地に点在していた食肉市場、屠場を一カ所に集中させ、干拓したばかりの品川に建てられたという。

現在では周りに後からビル群ができたことで、完全に異様な雰囲気をただよわせている。

まさかこんな大都会でドナドナのあの風景が見られるとは…

東京周辺だけでなく、東北の方からもドナドナされる(訳:牛がトラックに乗せられ運ばれる)というこの東京食肉市場。

ウシは600頭、ブタは1200頭ほどが一日に屠畜され、枝肉になるという。

ではこの枝肉はどうやってできあがるのか。

ウシの場合はまず電気ショックガンで気絶させ、すぐに喉元ナイフを入れ血抜きをする。そして頭を切って皮をはぎ、手足を切断して枝肉にするのだ。

このときウシを載せて運ぶコンベアは各段階でそれぞれ70秒で動くためスピードが要求されるが、一方で肉を剥いだときの出来がその後のウシの等級に関わる。

ナイフを入れ、スッスっと肉を傷つけないように丁寧に、かつ手早く皮を剥ぐその作業は熟練したテクニックを必要とする。牛は個体差が大きく、機械にかけられないため、手作業で行わなければいけない。

まさに職人技であるのだ。

残念ながら以上の屠畜の現場は見学することができなかったのだが、ぜひ今度他のゼミ生を連れて見に行きたいものである。

(ちなみにこの屠殺の過程は小学生でも理解できるような可愛らしいビデオに収録されて見ることができる。凄まじい食育だ。)

こうして出来上がった枝肉は次の日にせりにかけられる。

実はこの市場のせりの現場を今回見学させてもらった。

長い長い除菌作業を経て完全防備体になったところでようやく市場に入らせてもらう。BSEや口蹄疫などの感染症対策のため、衛生管理が徹底されているのだ。

そして市場。圧巻である。

ウシの枝肉が吊り下げられ、コンベアで次から次へと移動してくる。

それぞれのウシは産地や等級といった情報がモニターに表示され、手元にあるスイッチで入札。

一頭当たりものの20秒ほどでウシの価格が決定。そして市場お決まりの素人には分からないマイク放送。

衝撃的だったのは同じ等級でも青森と福島のウシの価格が顕著に違うということ。

放射能の影響を目の当たりにした瞬間でもあった…

今回初めて芝浦屠場に入らせてもらったが、知らないこと(知りたいとも余り思えなかったはずのこと)だらけで非常に新鮮な気持ちで見学することができた。

しかし、枝肉は動物というよりは“肉”であったため、命の大切さを知るどころか食欲が刺激され、そのまま焼肉屋に誘われたのも事実である。

次はぜひ、もっと深いところまで見てから、牛角に行って美味しい牛肉を舌鼓したいものである。

乞うご期待を。

農業企画は基本的にゆるふわですがたまにはこんな農業のあまり知られていない部分にも踏み込んでいったりもします。時々。