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夜短2013 ~夜は短し歩けよ学生~



竹芝2_夜短13

午前4時、少し明るくなり始めた空の向こうがやけに赤いので何かあったのかなと思ったら、東京タワーが放つ赤い光が空気中の細かい雨粒に乱反射しているのだとわかった。そんな話をしながら歩いていたら汐留に着いた。秋葉原からはほぼ一本の道を歩いてきたのに、数々の高層ビルが立ち並ぶこの一帯の近未来的な風景は、つい1時間余り前に見ていたものとは大きく異なっていた。

汐留駅のそばの階段を上って、こんどはきれいに舗装された遊歩道を歩いていく。時刻は午前4時30分、既に始まっている朝の情報番組もあるだろう。押し寄せる眠気と空腹と戦いながら最後の力を振り絞って、僕たちは海を目指して歩いていた。

午前4時50分。僕たちは竹芝客船ターミナル前に着いた。

目の前に広がるのは灰色の空と灰色の海。風がやや強く、海はうねっていた。小雨まじりの潮風が吹き付けて、肌に纏わりつく。海の向こうには靄の中からレインボーブリッジとお台場が見えた。
残念ながら日の出を拝むことはできそうになかった。けれども、夜通し歩き通した自分たちを自分でねぎらうかのように、ある者はスマートフォンを取り出し、またある者は呆然としているのか、あるいは眼前に広がる光景を目に焼き付けようとしているのか、その場に立ち尽くしてじっと向こうを見つめていた。

竹芝_夜短2013