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政治企画 糸数慶子議員取材


3.沖縄の自治・独立への想い

そもそも、戦後の沖縄はスタートから本土とは大きな差を抱えています。

地上戦の舞台と化し、県民の25%が犠牲になり、廃墟の中からの再出発を余儀なくされました。
そして、サンフランシスコ条約によって本土から切り離されて27年間を過ごしました。その間、日米安保条約や地位協定が決められて沖縄への負担は強まりました。
沖縄は米国の実質的な植民地となり、県民の生産の場である農地は基地に接収されました。
基地問題や教育水準、経済水準などで、本土との様々な格差が生まれました。けれど、沖縄から議員を送れるようになったのは復帰直前で、県民の声は日本には届かない。
その状況に対し、平和憲法の下の日本に復帰したいと百万県民が望んだのが1972年の日本復帰でした。

ですが、実は復帰にも密約があったことが明らかになっています。今でも沖縄選出の国会議員は全体のほんの一握りで、私たち沖縄県民の声はずっと届かない状況にあるんです。

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学生:
歴史的にも沖縄が本土から見捨てられ、抑圧されてきたという話ですが、ならば「独立」や「自治」という形で沖縄の未来を希求するという選択肢は有り得ないのでしょうか?

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糸数:独立ということは、今すぐには有り得ないとは思っています。

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道州制の中で、沖縄独立自治州としてやっていくのが望ましい、と考えています。
実際、フィンランドのオーランド(公式WEBサイトhttp://www.aland.ax/.composer/upload//lillajapan.pdf)や、韓国の済州島(公式WEBサイトhttp://web.wordia.co.kr:8080/transvcweb=skjGN-33001510359231485694-http://www.jeju.go.kr/contents/index.php?mid=0103)はそのような自治州になっています。私達は実際、彼らを参考にするために意見交換もしてきました。

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でも、気持ちの中ではもう、独立ですよ。

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本当にそうしないと、全然沖縄の思いが届いていないのですから。
500年前からずっと抑圧されてきたんですよ、沖縄は。

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本土の皆さんは夢物語と言うかも知れません。
ですが昔、沖縄が琉球王国として独立していた時代は、地の利を生かしてアジア諸国と交易をして、小さく貧しいながらも、独自のアイデンティティを確立していたんです。
この地の利というのが、現在アメリカが「基地の島」として沖縄を重視する理由です。
でも琉球王国は、「基地の島」じゃなくて、平和な交易国家として繁栄していたんですね。
だから私達は、アジアの国々と交易して沖縄が真に経済的に自立するための制度というのを認めていただきたい、と何度も政府に求めています。
実際に、2002年に名護市で金融特区が認可されて、金融業の誘致もなされました(名護市公式HP?http://www.city.nago.okinawa.jp/7/6472.html)。
でも実の所は、本当の経済的な自立に繋がる政策に政府は踏み込んでないんですね。

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というのは、日本が一番恐れているのは、昔のように沖縄が経済的に自立することなんです。
沖縄が経済的に自立すれば、県民は基地に依存しなくてもやっていける、と気付くわけですから。

元沖縄総領事のケヴィン・メアさんは沖縄にいた時に「沖縄の人はゴーヤすら作れない怠け者」と言っていますけど、とんでもないですよ。
「怠け者である」とか「いつまでも補助金に頼っている」だとか。頼らざるをえない状況を日本政府は作ったんですよ。

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日本政府はこれまで四回に渡り、振興計画の枠組みの中で、沖縄に10兆円ものカネをばら撒いてきました。
それだけカネを投入したのなら、街が活性化しているはずなのです。しかし実際は、重点的に事業の対象とされた名護の街を始め、基地所在町村の大半はシャッター通りです。
おかしいですよね。なぜこれだけ予算を投入してきたのに地元が活性化しないのか。

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結局、振興計画のカネは全部工事を請け負った本土の大手ゼネコンに流れ、本土に還流して行きました。
地元に利益が還元される事業ではなく、投入された10兆円の中で、本当に沖縄を潤したカネは微々たるものですよ。
振興計画は政府が自分の都合のためにやったものです。沖縄の経済を自立させる気など毛頭なかったのです。

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しかも、振興計画の設計図は霞が関の官僚が、地元の状況を考慮せずに自分達の都合で描いたものでした。
ですから、例えば不要なスーパー林道を作って、自然が破壊されています。赤土やヘドロが珊瑚礁の海に溜まり、漁業者が苦しめられています。

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今の民主党政権は地方分権を重視しています。
それで今度は来年(2012年)の四月から、今までの振興計画に変わる新しい沖縄ビジョンが十年特別立法で成立します。その中で予算配分を沖縄県の裁量にしてくれ、と私たちはいっていますが、難しいでしょうね。

鳩山元首相や菅首相(当時)の民主党には、政権交代の時の普天間基地県外移設公約などに期待していたのですが、自公連立政権時代の協定をそのまま踏襲して県内移設で解決しようとしています。
このように沖縄と日本政府は基地問題では真っ向から対立していますから、今の民主党政府も沖縄を経済的に自立させたくないのでしょう。

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それに、米軍政下の立法院議院時代から現在の県議会まで、沖縄の議会の決議を見ると、米軍がらみの事件事故への決議ばかりなんです。
事件が起これば臨時議会を開き、復帰後も400回以上国に対して基地問題の解決を要請する決議をしているんですよ。
人口が同レベルの他の県議会と全然違うんです。こういうことに時間が割かれて、本来やるべき福祉、雇用、そして何と言っても教育の政策になかなか時間が割けないんです。

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やはり重要なのは教育です。
今から30年前、フィンランドは、沖縄のように非常に失業率が高く、予算も限られた国でした。
しかし当時29歳だった教育大臣が、国家によって等しく子どもを育てるという理念の下、親の経済力と無関係に大学まで卒業できるような制度をつくりました。
そうして今では、ご存知の通りフィンランドは先進国の中で学力世界一ですね。
それで、世界的に有名なNOKIAなど、世界的に有名な企業や人材を多数輩出しています。

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それと同じように、例えば沖縄に子ども振興特区をつくる。朝鮮学校をも含めて高校の学費無償化を行う。
そうして沖縄の経済を自立させようと考えています。
実際、親の経済力がしっかりしていないと、子どもを大学に行かせることもできません。
沖縄では多くの子どもたちが貧困状態にあります。例えば保育園や学童保育でも、本土は公設民営、沖縄は民設民営なんですね。
だから本土と比べて三倍四倍も教育費がかかってしまうんです。待機児童も、母子家庭も多い。
しかも米軍基地があることで起きるさまざまな事件事故が、さらに環境を悪くしている。
そんな環境の沖縄と比べてみなさんはラッキーな境遇にあるのです。だからこそ、学ぶところを社会に、沖縄に還元して欲しいとみなさんには期待しています。

2011年7月15日 参院議員会館にて



糸数慶子議員取材(2011年7月15日 参院議員会館にて)

糸数慶子議員取材(2011年7月15日 参院議員会館にて)