本来の企画とは少し離れ、秋田の地での出来事を綴ります。
8月5日、22時。
秋田県大潟村。外には明かりのない世界が広がっていた。その中に私たちは繰り出した。漆黒の闇が私たちを包み込む。暗さに目が慣れるまでの数秒間、本当に何も見えていなかった。明かりの灯っていない住宅、自動車の通らない道路、街灯のない道。同じ時間の東京では考えられない光景だった。
しかし、私たちの頭上にはさらに信じられない景色が広がっていた。満天の星空だ。天の川、赤く輝くサソリ座のアンタレス、ひときわ明るく光るデネブ、アルタイル、ベガの夏の大三角、白く光る銀河の数々。それは個言葉ではとても言い表すことができないものだった。今にも星が降ってくるかのようで、私たちはしばらくその星空に圧倒され言葉を失った。その景色に魅了されながら私たちは宇宙をテーマにした話をしていた。あの星空を見ればきっと誰もが宇宙への想いが湧くことだろう。そのとき私たちはなぜ宇宙研究がこれほどにも盛んに行われているのかを理解した気がした。
たった30分の深夜散歩だったが私たちにとっては大冒険だった。きっとあの時間は普段の夜短企画の数時間と負けるとも劣らない密度のある時間だっただろう。私たちはまた一つ貴重な体験をした。
===文責:笹岡賢佑===