ここ最近、巷で「将棋」という言葉を耳にすることが多くなった気がする。
七大タイトル戦を中心とする主要棋戦がニコニコ生放送で生中継され、毎回多くの視聴者数を獲得している。今年春に行われた「第2回電王戦」では、プロ棋士とコンピュータソフトとの対局が大きな注目を集めた。全5局の視聴者総数はのべ200万人を超えた。ドキュメンタリーやバラエティ番組で将棋が取り上げられる機会が増えた。多くの棋士・女流棋士がブログやTwitterを持ち、「将棋指し」と呼ばれる人々のプライベートや勝負に対する心境を垣間見ることができるようになった(注:将棋は「打つ」んじゃなくて「指す」ものです!)。
将棋界は少しずつ変わり始めているようだ。
東大の前期教養課程でも、2013年冬学期から主題科目「将棋で磨く知性と感性」が開講される。
オリンピックの度に日本中で巻き起こる感動。テレビ画面を通して伝わる、勝負の一瞬一瞬を巡る駆け引きや選手の表情・場を包む緊張感は、競技のルールを良く知らない人の心をも強く揺さぶる。
将棋だって一緒なんじゃないかと思う。
テレビやニコ生の中継画面に映る、盤を挟んで対峙する二人の棋士が何時間も考え込む姿や表情、残り時間を告げる声。『三月のライオン』『ハチワンダイバー』等といった将棋マンガが描く、勝負の世界に生きる棋士の気迫や苦悩。それらが伝えているのは、新聞の小欄や棋譜だけからは伝わらない「熱さ」だ。この企画では、そんな将棋の魅力を伝えようとしている方へお話を伺いに行く。
小さい頃から将棋に触れてきた筆者にとっては、将棋の話ができる友達が周りに増えることは嬉しい。たとえ駒の動かし方すらわからなくても、「羽生さんってなんだかすごいよねー」と話を振られるだけでも良いのだ。この記事や色々な媒体を通じて「細かいことはよくわかんないけど将棋ってなんだか熱いね!」とか「ちょっと始めてみようかな」と思う人が少しずつ増えたらいいな、と思っている。