自分の知らない本について語ってる人を見ると、劣等感に苛まれてしまうような時がある。
もっと本を読まないとなあ、と思う。
正しい。
それは正しい。
しかし、本当に本を読めば、語れるようになるのだろうか。
そもそも、読んだ本について語るとはどのような状況だろうか。
本を、読んだ、とは?
読むにも色々ある。パラパラめくった本、ナナメ読みした本、目次だけ見た本、頭から最後まで読み通した本、おもしろそうなところだけ拾い読みした本などなど。
教科書とか難解な哲学書は、一回読んだだけで読んだというにはあまりにも深遠だし、
その上一度読んだつもりになった本でも、読んで2週間もすれば内容の半分は飛んでしまっているだろう。
さて、果たして読んだってなんだ?
読んでいない本について考えるということは、即ち読んだ本とは何かについて考えることである。
しかし突き詰めて考えれば考えるほど、読んだとはどういうことかわからなくなる。
我々に読んだといえる本なんて存在しないのかもしれない。
そこで、この本である。
すべての本が読んでいない、読めていない本だというなら、いっそ読んだつもりの本も全く読んでない本も同列に語ってしまっていいのではないか?
読んだ本について語るときも、読んでない本について語るのも、自分のことを語るという点では同じなのだから。
劣等感に苛まれ、なんとしても人よりも本を読んでいなければならないという強迫観念に駆られている人にこそ読んで欲しい一冊である。