9. サイバー・ユニバーシティ構想
- コンテンツ(メニュー)は立派
- 制度に問題(全体スキーム/進振り/評価)
- 初期構想(矢内原) 「教養が終わってから専門」ではなくて、「教養は同時並行で4年間」
- 一般に6・3・3・4制だが、東大に入ると「6・3・3・2・2制」 専門教育は時間が足りない
- 実質、6・3・3・2・4制(薬学、医学)の場合も
- 理系は修士が標準化
先ほどの進振り制度があるためにですね、東大では現実的に6・3・3・2・2制になってるわけです。それで2・2制で起きる原因はひとつは専門教育の時間がとても足りないんです。それでそういうことはずいぶん前からいろんなところで起きてるわけで、いろんな学部で6・3・3・2・2制を2・4制に実質変えています。制度的に薬学部とか医学部はそうなってるんですね。で、その他の学部にしても、実は理系は本郷の学部の時代には中身が終わりません。ですから、理系の人はほとんどが修士まで含んで、それは学部学科によって相当違うんですが、多いところでは8割9割という学生が修士まで行ってます。だからさらにプラス2の制度になってるわけですね。
(大学だけでは足りない?というスライドを示す)結局大学では、基本的に教養教育は足りないという、そういう側面があるんです。専門教育も足りないし、教養教育も足りないんです。やっぱりどうしても時代に対応する、一番初めに言いましたような、本当に中身あることを身につけるためには、大学プラス自己教育ってのがどうしても必要です。
- 日本中の大学で教養教育が破綻状態にある
- これを一挙に救う道は東大教養の授業を全国の大学で受講できるようにすること
- ネットワークを利用して駒場と「サイバーユニバーシティ」にすることで技術的には可能
- 2年前、教養学部の一部教官・先端研の一部教官・NTTとも相談
- 具体的プラン一歩手前まで来ている
今全国の大学で教養教育は東大以上に破産状況にあるんです。先ほどの資料集の中にも書いてありますけど、他の大学に比べれば、東大の教養教育っていうのは、すごく中身があるわけです。それで日本中の大学っていうのは東大よりもはるかにひどい破産状況にあります。でそれを一挙に救う道っていうのは、実は一つあるんです。それは東大教養の授業をですね、全国の大学で受講できるようにすることなんです。それは可能なんです。ネットワークを利用してですね、要するにサイバー・ユニバーシティにしてしまうんです。駒場の授業を。つまり駒場で展開されている一個一個の授業にカメラを持ち込んで、その映像をネットワークを通じて全国に流すんです。それで、それをリアルタイムで地方の大学でも学生が見て聞いて、相互にかかわれるような、そういうことが今技術的に可能ですから、そういうことをやろうとしたんですね。実際に2年前にですね、一部の教養の先生方と、それから先端研の先生方と、それからNTTとデータ通信だったかな?、そこの方々と話をしまして、それを具体化してやろうということになったんです。本当に東大の教養の授業っていうのはものすごく中身が豊富です。「大鬼」という評価をされているものはですね、ものすごく良い中身なんだけど、とる学生が少ないんです。それはみんな「大仏」に行っちゃうんですね(笑)。「鬼」は少ないんです。でも中身はものすごくすぐれているという授業がものすごくあります。それはほとんど東大生にとって宝の持ち腐れなんです。これはもう日本全体の損失なんです。だからそれを全国の大学で利用可能にすればですね、ここにあるものすごい知的資産を、日本中の大学生が共同利用できるようになるわけです。で、実はこの資料の中にある、「爆笑問題のニッポンの教養」のプロデューサー(水高満氏)が考えたこともそれに近いことなんですね。東大にはものすごい知的資産がある。で、それがほとんど外側で利用されてない。それを何とか利用させる手段として、あの爆笑問題のあの企画が考えられたと。あの企画とほとんど同時期にこの企画を立ち上げまして、これはペーパーを何度も書きまして、実際は実現する2歩ぐらい手前まで来てます。1歩手前じゃないんですが、2歩ぐらい手前まで来ました。ただそのあたりでいろんな問題が起きてくるわけですね。例えば地方の大学でそれを利用できるようにするためには、地方の大学のカリキュラムの課程でどうやって入れて、それを制度的にどうするかとか、そういう問題があるわけですね。で、技術的にはもう明日から可能ぐらいのことが出来てるんです。そのために実はNTTでやってる、日本全国どこでも使える電子会議システムっていうのがあるんですが、それをうまく使うとまさに実現可能です。それそのものをうちのゼミで借り出して、ゼミの内部でいろいろ利用するみたいなことも2年前にはやってるんです。それで本当に実現一歩手前ぐらいまでは来てるんですが、あとは東大のわりと主力の先生が関わってましたんで、もうちょっとこのままいけば実現可能だとは思っていますが、あとは文部省とかそういうところの問題になってくるわけです。