ごあいさつ
「教養」,この言葉にはどことなく不思議な雰囲気が漂う。上品なような,奥深いような,それでいてなにか胡散臭いような…独特の響きを持っている。
東大には,今や珍しい「教養」の名を冠する学部があり,1・2年生の全員がそこで学業を修めることになっている。立花ゼミも,教養学部のカリキュラムの中で開講されている授業の一つだ。
その「教養学部」の,「教養」ということに何度も言及してきた立花隆のゼミであるから,「自らの好奇心のおもむくままに調べて書く,発信する」という活動の根底には,何か「教養」に通じるものがあるのかもしれない。だが,「教養」そのものを正面から扱う企画はこれまで存在しなかった。
今回「教養教育」企画が誕生したきっかけは,立花先生に駒場祭での講演依頼が舞い込んだこと。テーマは「リベラル・アーツの可能性」。まさにこのゼミに「お似合い」のテーマだったようで,論じたい内容や読みたい本は次々出てくる。しかし,読めば読むほど,考えれば考えるほど,この問題の根深さを痛感させられることとなった。現代に関して言えば,受験や就職など,社会全体のテーマともぶつかってくるのだ。
「教養」って何だ?
答えは,時代によって個人によって本当に様々かもしれない。
そんな問いを,まさに今,「教養課程」に学ぶ東大生が考える。
「教養」ってだれが決めるのか?
どこにあるのか?
そもそも本当に必要なのか?
そんなことを考えていくページにするのが目標だ。
駒場祭の講演会を機に立ち上がった企画だが,扱う内容の幅を考えると,駒場祭後も続けるだけの意味はあると思う。
学生独自の視点で,「教養」の姿を捉えてみたい。
東京大学立花ゼミ「教養と教育」班