Archive for December, 2009

世田谷イルミネーション探訪

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 私は現在、日々駒場まで自転車で通う身なのだが、その道すがら通りかかる家々のイルミネーション合戦が、クリスマス当日に向けいよいよ白熱していくのを傍観するのが、ここ最近のささやかな趣味だった。

 ハロウィーンの頃から、玄関に手彫り感あふれるかぼちゃが鎮座したりして雲行きが怪しかったのだが、11月に入ってやっと、それも撤退したと思ったら、突如12月。

 懸命に走る師を誘惑したいのか知らないが、華美に飾られる玄関。

 一軒が頑張りはじめると、それに呼応か対抗か、お隣お向かい斜向かい、日ごとに自宅デコレーションの輪が広がっていき、月も半ばになると、駒場Ⅱキャンパス周辺の家は毎晩チカチカピカピカキラキラ。

 むしろ何の施しもしていない家のほうが目立って勝ちだったんじゃないかと思うくらい、派手に飾られた住宅街には、さすがに自転車を漕ぐ足もおろそかになる。

 

 中高時代は、クリスマスの綴りも知らないような町で過ごしたので、こういう都会のマダムな腐心は非常に興味深い。

 去年だったか、下宿のおばちゃんが、なぜだか張り切って庭の植え込みに単色の電飾とモールを巻きつけていた(そして、電気代がもったいないといってほとんど点灯しない)のさえ、なんだか「おおお」という感じだったのに、やはり東京は、目黒区は、違うらしい。

 

 数日前、不在票が入っていた荷物を取りにちょっと遠くまでチャリで出かけたのだが、その途中でも、あちこちで家々が、発光していた。

 しかも今度は世田谷区である。

 私も、引越ししたてのころは、下北沢への行き方が分からず、綿々とつづく高級住宅街に迷い込み、車庫シャッターを下ろせばいいのにわざとかあえてか見せびらかされているベンツを横目にEZナビウォークと格闘した思い出があるが、やはりこういうところにお家を建てる人は、電気メーターなど見たこともないのだろう。風呂の残り湯で洗濯なんて、したこともないに違いない。

 とりあえず、庭の中にリアルツリーがある家、多数。塀で全貌は見えないので、はみ出た木のてっぺんから想像するに、であるが。

 こうなるともはや、一体誰にアピールしているのか分からないし、実際どの家もさして独創性あるデコり方をしてるとも思えないが、とにかくみな、光りたいらしい。

 泥棒よけにしては、大層な投資である。

 また、通りがかったアンゴラ大使館のイルミネーションも、それは立派なものだった。一瞬、民家かと思って目をうたがったけれども。

 

 それにしても、通りかかるたびに思わずふらふら近寄って眺めてしまう私は、やはりしょせん、蛾属性だなと、悲しくなるのでありますが。

 そして来年、高田馬場に引っ越したら、今度は目白の高級住宅地を散策に行ってみようと、思ったりする。

 

 そういえば、30分以上かけて荷物を取りに行ったはいいのだが、「受け取りセンターを間違えてますね」ということで、寒い中再び長々チャリを漕がねばならなくなった、というのは余談でしょうか。

 しかしお陰でたまたま、受験のとき泊まったホテルを通りかかったりして、ちょっと寂しく、まだ1年も経っていないのかと思ったりして、センター模試パックの束の分厚さを思い出したりもして、いやあ初心に返らねばならないなと思わされつつ、年は暮れゆく模様です。

 

 よいクリスマスを。