NINSシンポジウム事前取材**宮下先生

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9月7日。宮下保司先生@東大医学研究棟。

 

駒場1年生としては、五月祭以来?の本郷キャンパス。

おそるおそる医学部研究棟の床を踏み、エレベーターで上階へ。

ガラス張りの「リフレッシュルーム」から文京区の景色を楽しんでいたところに、やはり颯爽と現れる宮下先生。

今回は、より脳密着型、というか、「脳科学」っぽいお話をしてくださるということで、いよいよ知識面での不安を感じつつの取材だったのだが、これも全くの杞憂であった。

先生自身が気を遣ってくださったこともあって専門用語は控えめ、脳科学のあり方・研究の進め方、といった大枠に重きを置いたお話は、私でも充分理解できた、というかとても面白かった。

 

宮下先生が終始強調し、「研究の上でいちばん楽しい」とも語るのは、「日常生活からいかに実験検証が可能なモデルを構築するか」ということである。

脳やこころ(こころ、だなんて全てを一語で片付けてしまうのは日本語の不思議で、例えば英語ではheartmindspiritsoul、などなど沢山のニュアンスを言い分ける)の働きについて知ろうと思っても、そもそもどうやって知ればいいのか。

頭を切り開けば済むというものではないし。

その働きを、限りなく正確に、研究可能・実験可能な形に単純化する。

これが、脳科学者(脳に限ったことではないだろうが)の最大の課題なわけである。

思い返せば松沢先生も、アイの「知能」をはかる方法を大変苦労しながら模索した、という話をしてくださった。

「アイが数字を覚えた」ということと、「アイが1から9まで順番にタッチパネルを押せるようになった」ことは、本当に同値かどうか。どこかに落とし穴はないか。

宮下先生の話でいえば、Feeling Of Knowing=「知ってる気がする、ぱっとは思い出せないけど」というのは、脳のどういう働きからくるのか。調べるには、まず「FOK」を実験可能な形にモデル化しなければならない。絶対抜け目がないように。

 

こういう課題・問題に取り組むのが、とにかく楽しいのだと、宮下先生はおっしゃっていた。

そしてこれらを解決するためには、取り敢えず色々試してみて、アイデアを出して、「Positive break through」を目指すことだ、とも。そういうbreak throughはだいたい、「周辺」から来るから。そういう意味で脳科学は総合科学なんですね、と繰り返し語られたのが印象的だった。

 

それから、松沢先生との対比で、動物実験の是非についての話があったが、それも個人的に色々と考えさせられた。

屠畜企画でしばらく前に訪れた遠藤先生の話も思い出しながら、今も、考えている。

事実と理想と現実がまざりあうところなだけに、難しい。

 

案の定、予定時間を大幅にオーバーしての取材だったが、もちろんその分、学んだものも多い。

先生の研究についても、先生自身についても。

人並みなまとめ方ではあるが、夏休み、家でだらだらごろごろして終わることもできる4時間も、機会さえあればこんなに濃いものに変えることができるのだ。

大学生というのは、なんとも贅沢な生き物だと思う。

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