徒然なるままに、ひぐらしマックに向かひて。
一昨日昨日と、中高時代の友人が泊まりに来た。
ただのクラスメイトではない。
6年間を一緒の下宿でひとつ屋根の下、しかもそのうち3年は同室で過ごした、場合によっては家族より濃い付き合いの友達です。
2月下旬にまったく同じ試験を受けて、結果いま、私はこのゼミに所属し、彼女はお茶の水にある某「学校」で来年に向けて準備をしている。
申請した類の数字が少し若かったばっかりに、、、とは彼女は絶対言わない。
そういうところに憧れます。
お互い置かれた立場は違っても、しょっちゅう電話で喋っていたせいで、せっかく3ヶ月ぶりに会ったのにあんまり報告しあうネタもなくて、会話も終始、さして盛り上がらず。
よく言えばいつも通り。
しまいには、サッカー中継が始まったのをきっかけに完全に無言となり、俄ナショナリスト化する感じが嫌いではないけど趣味でもない私はPCに逃げ、いったい彼女は何をしにやってきたのか分からない状況になった。
彼女にとってはいい息抜きになったのかもしれないから、いいんだけど。
思えば、下宿ではテレビなんて無いも同然の生活を送っていた。
母屋(私たち下宿生の居住空間は別棟にあった)のリビングにはちゃんとテレビが据わっていて、ご飯を食べながら見ることはできた(食事は毎回母屋の食卓に赴いて摂る)けれど、慣習的に見ないのがあたりまえだった。
どうしても気になる番組があるときはおばさん(大家さん)に頼んで見せてもらうのだが、いったんテレビをつけると、その番組には興味がないはずの下宿生たちもそっちに惹きつけられて、ご飯をほっといて画面の前に集合し、いつも結局「ALWAYS 三丁目の夕日」みたいになっていた。
番組はなんでもいい。テレビがついてることが珍しかったのだ。
よく、テレビは食卓の会話を殺すというけれど、あんまりにテレビが珍しいと、まったく逆のことが起きる。
みんなテンションが上がって、いちいち番組やCMに対してコメントをつける。
そのコメントに誰かがコメントする。それにまたコメントをする。
一人暮らしのいま、あれはなんて賑やかなテレビ「鑑賞会」だったんだろうと懐かしく思い出されます。
もうとりあえず、この下宿に関しては、誰に馬鹿にされようとも、私は「最高の毎日だった」と断言する。
ただの感傷だろと言われても、あそこでの生活を知らないあなたは可哀相ですねと返したい。
最寄の商店は徒歩30分、携帯もときどき圏外のあほみたいな田舎には、空気と星空ぐらいしか取り柄がなくて、私たちの最大の娯楽は庭に寝転がっての流星観測かお月見か。
あるいは夜通しの大富豪。正月が近づけば百人一首。
そんな「いかにも」な青春が、いまの私を作っている。
電波の届かない環境は、私にたくさんの暇を与えてくれた。
書く暇、読む暇、考える暇、そして何より喋る暇。
中高の6年間、下宿で何やってたかって、喋ってました。
食事もテレビ鑑賞も星空観察もトランプも、ぜんぶ会話を伴っていた。
同級生と。先輩と。後輩と。おばさんと。おばさんの友達と。
今日遊びに来たという例の友達とだって、下宿時代には、くだらんことも真面目なことも、意味もなくさんざん色んな話をした。
隣にいてもお互いまったく無言だったこともたくさんあったけれども、それでも毎日まいにち喋っていた。
昨日だって、実際サッカー見て「会話レス」だった時間の倍くらいは、喋っている。
彼女が話すその大部分は冗談めかした愚痴だったけれども。
去年とまったく同じことをやっているという虚しさ。とは、彼女はやっぱり絶対言わない。
3ヶ月前から全然ぶれてないんだなと思うと、少し切ない。
その愚痴に、私は自慢で返す。
大学生は、やりようによっては激しく楽しいんですよ私は楽しい、と嫌みなくらいアピールする。
どうやったって来年は受かってほしいと思う我が侭が、許される相手であると思うから。
彼女とは、来年受かったら、流行りのルームシェアを約束している。
下宿の後輩には、どれだけ一緒に暮らしたら気が済むんだと笑われているが、東京の家賃は馬鹿にできない。東京の孤独も馬鹿にできない。
これは一人暮らしを始めて痛感したことですが。
うーん、日にちを置いてちょこちょこ書いてたせいもあってなんだか話が錯綜、結局何が言いたかったのかわからんな。
何が言いたかったわけでもないけど。
要するに、近くで頑張っている友人をおもうと、私もいい加減な大学生はやってられないなと思う。と、そういうことです。
こういうのは綺麗事かもしれないけれど、綺麗なものの何が悪い。
今日は独りでテレビです。
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