第3部 「自分事化」する。
『GENERATION TIMES』とは。
第3部は伊藤さんが編集長を務めるジャーナル・タブロイド誌『GENERATION TIMES』(以下「GT」)の紹介をしながら進んだ。それをここで繰り返すのは野暮な話だ。実際に手にとってもらうのが良いに決まっている。
紹介しておくと、GTは週刊でも月刊でもない不定期刊である。それは編集長の伊藤さん自身が内容的に「つくりきれた」と思った時だけ発行しているからで、4年をかけて08年に第10号を発刊した。流通の形態はかわっていて、アパレル系ショップのメッカであるラフォーレ原宿で無料配布、または一部のタワーレコードや青山ブックセンターなどで300円で手に入れることができる。伊藤さん自身、原宿に溢れるような若い層に届かなければ世の中は何も変わらないという思いが強く、社会的なものに興味を持つ入口としてあるように、流通から考えた結果がこの方法に行きついた。紙面の大きさからいって新聞とも雑誌とも言えないマージナルな井出達で、内容は号ごとにあるひとつのテーマを伝えるためにストーリー仕立てで特集を組んだものになっている。
どの特集も聞くだに興味をひく。むろん見た目がクールなのは言うまでもないが、それ以上にテーマ設定の妙とそれに沿った各記事の目の付けどころの良さに唸る。毎号別個のテーマでやってはいるが連載も存在し、注目のニュースに対して複数の「視点」を与える「NEWSのシテン」やタイムリーな話題から教訓を導き出す「時事学」がジャーナリズムの面を支える。