「調べて、書く」。
今から13年前、このスローガンを掲げ立花ゼミは誕生した。
でも、そんなこと小学生のころからやってる。
アサガオの観察日記、自由研究、読書感想文。
なにを今さらえらそうに、とあなたは思う。
では中学生のあなたはどうだったろうか。
高校生のあなたは?
もちろん、テストの解答用紙をしこしこと埋める作業だって「調べて書く」に違いはない。
電子辞書を、分厚い教科書を、ベストセラー参考書を、あなたは調べた。
必死に調べて、答えを書いた。
別に文句があるわけじゃない、僕だってそうやってここに来た。
気になるのは動機だ。
赤ペンの「100」の字が見たいからだろうか。
掲示板の前で胴上げされる姿を夢見てか。
将来大企業に就職するためだろうか。
ひとつ、自信を持って言い切ろう。
学ぶことはは手段なんかじゃない。
満点だとか受験合格だとか学歴だとか。
そんなものは結果的に生まれた副産物にすぎない。
僕たちは知りたいんだ。
知りたいから教科書を開く。
知りたいからネットの上を駆け回る。
見てみたいから街へ出るし、聞いてみたいから門を叩く。
自分の内側から発する好奇心を満たしたい。
僕のこの目で、この耳で、この手で。
僕たちにとって知ること、学ぶことはそれ自体が目的なんだ。
そうやって窺い知ったこの素敵な世界を、知識を、考えを、
他の誰かにも知ってもらいたい。
僕たちだけに留めておくのはもったいない。
もっと多くの人に、問題意識を同じくする同志に。
世界中の人々に伝えたい。
だから、僕たちは調べて書く。
「見たい、聞きたい、伝えたい」
人間の中にあるシンプルな衝動。
見聞伝とは、僕たちが調べて書いた記録である。
あなたの「見聞伝」も満たすことができれば、幸いである。
2008年5月1日 立花隆ゼミナール