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2010年度《見聞伝 駒場祭特設ページ》

見聞伝とは

「調べて、書く」。
今から13年前、このスローガンを掲げ立花ゼミは誕生した。

でも、そんなこと小学生のころからやってる。
アサガオの観察日記、自由研究、読書感想文。
なにを今さらえらそうに、とあなたは思う。

では中学生のあなたはどうだったろうか。
高校生のあなたは?
もちろん、テストの解答用紙をしこしこと埋める作業だって「調べて書く」に違いはない。
電子辞書を、分厚い教科書を、ベストセラー参考書を、あなたは調べた。
必死に調べて、答えを書いた。
別に文句があるわけじゃない、僕だってそうやってここに来た。

気になるのは動機だ。
赤ペンの「100」の字が見たいからだろうか。
掲示板の前で胴上げされる姿を夢見てか。
将来大企業に就職するためだろうか。

ひとつ、自信を持って言い切ろう。
学ぶことはは手段なんかじゃない。
満点だとか受験合格だとか学歴だとか。
そんなものは結果的に生まれた副産物にすぎない。

僕たちは知りたいんだ。
知りたいから教科書を開く。
知りたいからネットの上を駆け回る。
見てみたいから街へ出るし、聞いてみたいから門を叩く。
自分の内側から発する好奇心を満たしたい。
僕のこの目で、この耳で、この手で。
僕たちにとって知ること、学ぶことはそれ自体が目的なんだ。

そうやって窺い知ったこの素敵な世界を、知識を、考えを、
他の誰かにも知ってもらいたい。
僕たちだけに留めておくのはもったいない。
もっと多くの人に、問題意識を同じくする同志に。
世界中の人々に伝えたい。
だから、僕たちは調べて書く。

「見たい、聞きたい、伝えたい」
人間の中にあるシンプルな衝動。
見聞伝とは、僕たちが調べて書いた記録である。
あなたの「見聞伝」も満たすことができれば、幸いである。

2008年5月1日 立花隆ゼミナール