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「貧困と東大」のチームで行った東京大学三鷹国際学生宿舎でのアンケート。多くの回答の中に、ひとつだけ、メッセージとともに連絡先が書かれていた。 「協力できることがあれば、他にもアンケートや質問に応じます。」 私たちはそこに書かれた連絡先にメールを送り、大学入学までにどのような人生を歩んで来たのかを尋ねた。
返事はすぐに返ってきた。 小学2年生の時に父親を亡くし、母子二人で生きて来た。その上母親は長時間働くことができない身体。それでも「知識は重たいものではないから」と言われ、勉強を重ね、東京大学に現役で進学した。 テレビゲームはなかったけれど、周囲の人々に支えられ、努力を重ね、いまを掴み取った。 「お金持ちでなくても東大で学べる」それを地で行っている。 今のところ(まだ入学して2か月ちょっとですが)、大学生活には満足していますし、充足感でいっぱいです。 どうせなら何事もポジティブに考えた方がいいと思っているので。
私たちは、この非常に力強く前を向いた若者にインタビューを申し込んだ。 ここにそのインタビューでのやり取りを記す。ただし、プライバシーの観点から一部削除改変した部分がある。
大学入学まで #あなたの生い立ちについて、大学入学前まで時系列に沿った形でお話しください。
最初は普通の家庭でした。両親とも大学を出ていません。 小学校2年生のときにいわゆる過労死で父を亡くしました。結構突然でしたが小学校2年生なのであまり覚えていません。 全く働けないというほどではありませんが、母はあまり身体が丈夫ではりませんでした。父を亡くした時に「働くかわりにテレビゲームを買うとかいろいろ遊ぶ生活がいいか、働かないでちょっと苦しい生活にはなるけれど一緒に過ごせる生活がいいか」ということを相談して、私は後者を選びました。まだ小学生だったので。ここで母に働いてもらうという選択をしていたら、たぶん私は東大に来ていないでしょう。小学校の5,6年生のときにグレかけたので。それからは遺族年金で暮らしてきました。でもお金のことで細かいことはわかりません。特に苦しい、困っているという感じはありませんでした。 中学生の時に塾に通い始めましたが、私自身は行かなくてもいいかなと思っていました。学校の勉強だけで賄えていたし、それなりの成績はとっていましたから。しかし、母から「能力があるんだったら能力を発揮しないのはもったいない」と言われて、せっかくだしちょっと行ってみようかなという感じで始めました。 高校は公立の進学校に進みました。高校でも塾に通っていました。授業料は一部免除されていました。1,2年生の時は地元の国公立大学に行けたらいいかな、と思っていたのですが、頑張って勉強していたら十分に成績が伸びたので、東大を受けました。どうせなら高いレベルに挑戦したいというのが大きな理由です。だから、これがやりたいから東大ってことはありませんでした。逆に、東大は進学振分があるおかげで1,2年生の間は学部学科が決まっていないことが魅力でした。
#大学入学までにお金に困ったという体験はありませんでしたか?たとえば、高校生になると交友範囲が広がったり、携帯電話を持ったりしてお金がかかりますよね。
中学校の友達の方が遊ぶ感じだったので、高校に入ってからは特に言うほど交際費はかからなかったと思います。進学校だとみんな勉強で忙しいですからね。携帯電話も持っていましたし、普通の高校生活を送りました。テレビゲームをやらなければ音楽もあまり聴きませんでしたし困ったということはありませんでした。
#高校の時にも奨学金を受けていましたか?
ふたつの奨学金を受けていました。 ひとつは、高校の同窓会の奨学金です。同窓会は先生が教えてくれて、同窓会で学業優秀でそれなりにお金の少ない生徒に奨学金を与えていますがどうですか、という相談をいただきました。高校2年生の時です。選ばれたのは学年で2,3人程度でした。月に1万円くらい、卒業まで奨学金を受けました。 もうひとつは、こちらも先生から紹介していただいたのですが、企業かなにかが財団を作っていて、その財団から奨学金をいただきました。学校の中で3人くらいの枠でした。金額は、同窓会より多かったのですが5万円とかはもらっていませんから2,3万円くらいでしょうか。こちらは高校3年間でした。
#経済的な面で先生や学校がいろいろと助けてくれたということですね。
自分でも掲示板とかに(募集要項などが)張ってあるのを見たりはしましたが、先生方からいただいたご支援は大きいと思います。けっこう先生には恵まれました。よかったです。高校の時に奨学金をいただいていたところとは別のところからですが、大学に合格したら奨学金を支給しますという約束をいただいていたので、大学生活にお金の心配はしていませんでした。
#奨学金や授業料免除を受けていると、事務手続きや集会などで出会った人が自分と同じような境遇にあるとわかると思います。高校の友達などで、そういうつながりはありましたか。
一人や二人はいました。でも普段そういう話をしませんよね。
#友達との間で、どうしてそういう話が出ないのでしょうか。
そういう話をする空気にならないのもありますが、私の感覚でいうと、そんなことで何かあった時に「あいつはそういう家だから」とかわいそうな目で見られるも嫌だし、付き合い悪いのもそういうことなのかなと思われるのは嫌ですよね。私自身に対してあからさまにはそういうことは無いでしょうが、裏で言われてそうですよね。何となくですけど。
#ここまでで大学入学前のお話をうかがいましたが、自分の人生に対する現状認識が大きく変わったり、将来設計が大きく捻じ曲げられたりということはありますか。
特に悪い方向に曲がったことはありません。たぶん父が生きていたら東大には来ていなかったと思います。別の人生だったでしょうね。 だけど、やっぱり人に恵まれていました。周りの人もそうだし、先生、学校の先生に当たりが多かったんですよ。勉強が好きになったのも、小学校の先生が珍しく理系の先生で、理学部を出た先生だったんです。それで数学とか理科とかが好きになりました。 好きって伸びるじゃないですか。それが大きかった。その調子で今までどんどん進んで来ました。
#すると大学入学前にはお父様が亡くなられたところ以外は普通の人生を送られて来られたと?
12月20日、立花ゼミの同窓会が多数のOB、OG、そして現役生の参加の下開かれました。その様子をお伝えします。(01.02 ダイジェストを追加。 随時更新予定)
2009年12月20日、本郷の山上会館にて東京大学立花隆ゼミナールの同窓会が行われました。 再びお会いできる日を楽しみにしております。 09年度見聞伝ゼミ長 ※スナップ掲載について不都合がございましたら、こちらからお問い合わせください。
僕は山谷に行って何を得られたのだろうか。 このフィールドワークの数日前、友人に本企画の概要について話すと、「何、その上から目線!?」と軽蔑と困惑が入り混じったような反応をされた。
乱創文学――使い捨てられる小説たち。
1.東京大学の授業料減免制度 東京大学は平成20年度から「主たる家計支持者が給与所得のみ年収400万円以下」であれば基本的に授業料を全額免除にする制度を開始した。学生の申請により審査が行われ、学力基準と家計基準をともに満たす者に対して授業料を免除または減額する。 注目すべきことに、大学側は学力基準、家計基準ともに計算式も含めて公開されている。これは平成20年度からの授業料免除の選考方法についてから読むことができる。 学力基準は平均的な学生なら達成可能なレベルである。家計基準は前述した給与所得のみ年収400万円以下がちょうどボーダーラインになるような基準になっている。ただし、リンク先の資料を見れば分かるように、家族構成や兄弟姉妹の就学状況などにより評価が大きく異なる。一人親家庭や単身赴任なども評価の対象とされている。 なお、東京大学の学部学生の授業料は年額535,800円である。 2.国立大学の授業料減免制度 国立大学の授業料は標準額である535,800円程度である。平成21年度の時点は、ほとんどの大学が標準額またはそれ以下の授業料を設定していることが文部科学省の調査で分かっている。他にも、文部科学省の通達を読むと、国立大学には基本的に授業料減免制度が存在することがわかる。2008年12月24、25日のしんぶん赤旗には、各国立大学の授業料減免制度実施状況、および各大学の独自な取り組みについて報道している。これを見ると、大学によって全額免除と半額免除の比率の扱いなどが大きく異なることがわかる。東京大学は、国立大学の中でも授業料免除制度が手厚い方である。
3.私立大学の授業料免除 制度 一部の私立大学では、外国人留学生のみならず 日本国内から進学した学生に対しても授業料免除制度を持っている。例えば、早稲田大学では給与奨学金という形で優秀な学生に対して学費負担を補助している。学生支援機構の発表した資料によると78.7%の私立大学は学内の独自奨学金を設置している。ただし、授業料の減免とともに選考基準にスポーツに関する基準が多く見られたとの記述がある。
日本で奨学金といえば、学生支援機構(JASSO、旧・日本育英会)が提供している貸与型奨学金のことを指すことがほとんどである。ほとんどの人はそれ以外の奨学金の存在を知らないからであろう。そこで、本稿では実際に東京大学教養学部の学生に対して募集が行われた奨学金を紹介する。
1.学生支援機構 学生支援機構はかつての名称である育英会とも呼ばれる。無利子の第一種奨学金と有利子の第二種奨学金がある。支援対象は高等学校の生徒から大学院の学生まで広くカバーしている。 大学学部生の場合では、第一種奨学金(無利子)が月額30000円もしくは、自宅(=保護者の住居)外通学者[国立]51000円[私立]64000円、自宅通学者[国立]45000円[私立]54000円である。第二種奨学金(有利子)が月額3万円、5万円、8万円、10万円、12万円である。 応募方法には高校在学時に高校を通して応募する予約採用と、大学に入学してから応募する在学採用とがある。4月頃に各校、各大学で説明会が行われて、そこで応募用紙を手に入れることができる。 奨学金の支給期間は入学年度の7月から最短卒業年度の3月までの45ヶ月であり、留年などの奨学生として不適格と認定される状態に陥ると支給が停止される。 詳しくはhttp://www.jasso.go.jp/saiyou/index.html#gakusyu 2.その他の公益法人(大学推薦) 一部の篤志家や民間企業により、奨学事業を行う公益財団が設立されている。給与型の奨学金や、特定の地方出身者に向けられた奨学金など、奨学金ごとに個性がある。 ここでは、大学1,2年から受給できる奨学金として、東京大学教養学部において実際に募集があった奨学金の一覧(平成20年度。最新版は東京大学教養学部)を紹介する。ここに示した奨学金には、大学からの推薦を受けて奨学会での選考を受けるものである。大学での選考は成績基準と家庭の収入の目安が示されており、4月に配布される試料には「成績基準を満たした者のうち家計困窮度の高い者から順番に推薦します。」と記述されている。この資料によると、成績基準は1年生が高校成績の平均評定で「3.5以上(給与奨学会は4.0以上が望ましい)」2年生が前年度までの取得単位数「優+良≧可+10(給与奨学会は優≧良+可が望ましい)」とされている。 なお、種類「給」としたものは給与型の奨学金であり、返済などは存在しない。「貸」としたものは無利子の貸与型奨学金で、卒業後10年20年の歳月をかけて返還するものである。また、ここには教養学部の学生を対象にした大学からの推薦を受けて応募する奨学金のみを紹介している。個人で応募するものなどは含まれない。 ちなみに、下表(教養学部用)の給与奨学金の募集人数は合計で54名、平均支給月額は約33000円であった。貸与奨学金の募集人数は26名、平均支給月額は約30000円であった。 東京大学の専門課程(3,4年)および大学院に募集があった奨学金については東京大学本部のWEBサイトで見ることができる。 種類 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 給 貸 貸 貸 貸 貸 貸 保護者が病気や災害などで働けない世帯 貸 貸 貸 貸 貸 貸 貸
3.その他の公益法人(個人応募) 大学の推薦を受けて応募する奨学金については上で示したが、学生が個人で応募するタイプの奨学金も存在する。これについては資料が得難いため、後日記事を更新するする。 |
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