2008年3月10日。
一年間浪人したのに、またしても東大に落ちた。
予備校の言うとおりに勉強していれば、必ず合格できるんじゃなかったのか。
努力は、必ず報われるんじゃなかったのか。
一緒に合格発表を見に行ってくれた友達と赤門ラーメンを食べて、家に帰った。
帰り道では、屈託ない笑顔の人間たちが、高らかに胴上げされていた。
すべてが信じられなくなった。
どんな言葉も、自分にとっては無に等しかった。
どうしよう。
この言葉を何度発したかわからない。
今、こうして東大に受かった自分が、あのときの自分に出会ったとしたら、どんな言葉を掛けるのだろう。
説得力のある言葉で、アイツが次の一歩を確実に踏み出せる何かを、伝えられるのだろうか。