内田樹という思想家をご存じだろうか。いや、「思想家」とくくってしまうのは失礼かもしれない。内田先生は思想家であると同時に武道家でもある。そして先生が関心を持つ思想はフランス現代思想、武道論、映画論、ユダヤ文化論、教育論、身体論・・・じつに幅広い。
『下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち』や、『日本辺境論』といった書名に聞き覚えのある人も多いと思う。内田さんの文章はカラリとしたユーモアにあふれていながら、読むものを思わず立ち止まらせ、自分の思考の型そのものを繰り返し問い直させる。
このインタビューは、そんな内田先生に会いたいと思った5人が、それぞれききたいことを胸に出かけて敢行したものである。そして僕たちは、バイタリティを分けてもらえそうな数々のメッセージをいただいて帰ってきたのだった。
○ 目次
- 大学とフロントライン
- 内田先生の「二十歳のころ」
- 若造、現場へ
- 「だって面白そうなんだもん」
- 私の身体は頭がいい
- 「楽しい」と「鬱陶しい」
- ”材料”・”道具”、研究だって仕込みが大事
- 学者としての苦しみ―オリジナリティーやニーズについて
- 師匠の機能
- 中等教育までは型なんです
- 中進国の子供として育つ
- 昔はわりと決めつけてました
- 愛国心の定型は作るな
- 「もっと貧乏すればいいのに」
- 若い頃読む本、年をとってから読む本、生涯読める本
- 「まぁ、そのうちわかります」―哲学自体が“装置”
- 基本は教師で意地が悪くて結構いい人
○ 読書会で輪読した本 (すべて内田先生の著書)
第1回 『下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち』 2007年 講談社
第2回 『日本辺境論』 2009年 新潮社
第3回 『街場のアメリカ論』 2005年 NTT出版 ・ 『寝ながら学べる構造主義』 2002年 文藝春秋
第4回 『私の身体は頭がいい―非中枢的身体論』 2003年 新曜社 ・ 『私家版・ユダヤ文化論』 2006年 文藝春秋