山田詠美『快楽の動詞』(文春文庫、1993)を読了。何とも軽妙なエッセイ集。エッセイと小説の間、ある種の批評といった方が的確かもしれない。作品の中に入り込む「書き手」としての視点と、作品を読む「読み手」としての視点を山田詠美が自由自在に行き来する妙技が味わえる。やはりこの人は文章が上手い。
さらっと読める割には、随所に鋭い指摘があって読んでいて頷かされることも多々あった。「単純な駄洒落は、〈おもしろいでしょ〉というそれを認めた笑いを求める。しかし、高品位な駄洒落は正反対に、〈おもしろくないでしょう〉という笑いを求めるのである。前者の笑いは、わはははは、であるが、後者の笑いは、とほほほほ、である。」 うーむ・・・なるほど。