夏休みの間、文学企画では水面下、ひとつの企画が動いていた。
余興企画、「文学企画内リレー小説」。
その名の通り、一本小説を書き上げて、どっかの小説賞に応募しよう。
しかしただ闇雲に書くのも面白くないから、なにか縛りを入れようということで出てきたのがロラン・バルトである。
彼の著書『恋愛小説のディスクール』には、恋愛小説の要素(?)なるものが列挙されていて、じゃあそれらをすべて「排除」した恋愛小説は書けないものか。
とりあえず挙げられている要素を全部並べ、重複してる、あるいはこれはいらんだろうと(独断で)見なされるものは削り、三十個弱の要素に絞った。
中には「接触」「告白」「真実」など、これ無くしてどう恋愛するのだ、小説するのだ、というワードも多く含まれていたのだが、それなりに事前に登場人物の像を設定することで対応した。
そして丁度、夏休みの終わりが締め切りの文学賞をターゲットに、一ヶ月かけて原稿を回しあった。
(メーリスを使ってバトンを渡していくのだが、私としては、モスクワ行きの機内で書いて遠くポーランドから送信したのが思い出深い。)
結果、ゼミ生の個性(殊に、日頃親しんでいる本のジャンル)と妄想がいかんなく発揮され、内輪向けにも(そして願わくば外向けにも)面白い物語が立ち上がったと思う。
文体はころころマイナーチェンジするし、展開や収束は無理矢理だけれども、通して読んでみると辻褄があっていなくもない。
こうしてこの企画のテーマ「乱創される文学」にあえて加担しつつ、再び企画は元の方向どおり、取材を計画しています。
(リレー小説第二弾も動きだしていますが……。)
※リレー順
1中尾仁→2後藤亮→3廣安ゆきみ→4寺岡慶佑→5片岡祥子→6鳥居萌→7細川瑠璃→8福岡成雄→9坪井真ノ介→10福井康介→11廣瀬暁春→12後藤亮(再)→13岡田空馬