ここでは、東京大学の提供する学生用宿舎について記述する。
親元を離れ一人暮らしをしながら学生生活を送る最大の経済的障壁は、特に東京のような都市部の場合、家賃である。東京大学駒場キャンパスがある京王井の頭線沿線の学生が利用する平均的なフロ・トイレがあるアパートの家賃は安くても5万円台後半である。月額5万円だとしても、一年で60万円、授業料よりも大きな金額である。本郷キャンパス周辺ではより都心に近づくためもう少し家賃が高い。
そのため、東京大学が提供する学生宿舎には定員に対して数倍の応募が寄せられる。選考基準は公表されていないが、学生に配布される資料を読む限りは、授業料免除と同様に、経済的困窮度が大きく影響するようである。また、実家からの通学時間が90分以内の者は基本的に選考の対象にならない旨が応募書類に記されている。
1. 三鷹国際学生宿舎
東京大学が東京都三鷹市に所有する宿舎。旧三鷹寮の敷地を利用して1993年に建設された。入居対象は主に駒場キャンパス、教養学部の学生である。東京大学の1,2年生は全員が教養学部に所属するため、1,2年生は全員が入居する資格を持つ。現在ではA棟からF棟に全個室605部屋の収容能力を持っている。日本人学生と留学生の比率は7:3となっており、1,2年生の場合は一学年およそ200人程度が入居できる。
家賃や光熱水費の基本料金などの固定費は月額10500円(2009年度)である。
最寄り駅は京王井の頭線三鷹台駅(徒歩30分、自転車10分)またはJR吉祥寺駅(徒歩50分、自転車20分)である。多くの学生は無料駐輪場のある三鷹台駅を利用している。また、家賃が非常に低いため、最寄り駅までバスを利用する学生もいる。駒場キャンパスからのアクセスは一見良い場所ではないが、バス路線が充実しているので駒場キャンパスまで40分から1時間程度。
2. 豊島国際学生宿舎
東京大学が東京都豊島区に所有する宿舎。豊島学寮の敷地を利用して2003年に建設された。同じ敷地内に豊島学寮(閉寮予定)がある。入居対象は主に本郷キャンパスの学生である。入居定員は200人で、日本人学生と留学生の比率は7:3である。少ない定員を更に学部生と大学院生で分け合うため、三鷹宿舎に入居できた学生も大部分が入居できないという問題がある。家賃は月額1万円。
本郷キャンパスまで電車で45分、自転車で25分程度。
3. 新追分国際宿舎(予定)
老朽化した白金学寮・豊島学寮を代替するため東京都文京区に建設中(2009年11月現在)の宿舎。入居定員は210人を予定。一部を外国人研究者用に割り当てる。
4. 学寮
古びた相部屋などのいわゆる大学寮のイメージにあてはまるのは学寮である。かつては駒場キャンパスには駒場寮があり、三鷹寮、白金学寮、豊島学寮ほかにも東京大学のキャンパス周辺には学寮が多数あった。老朽化などの理由でその多くはすでに取り壊されており、2010年にはすべての学寮が閉鎖される予定である。代替として、三鷹、豊島に学生宿舎が建設された。