虹は黒い!?
相手が何を前提にしているのか、それを読み解くことがまず大事と言う。例えば、と言って伊藤さんが挙げたのが「虹の色」だ。御存知だろうか、日本人は7色と当然のように思っているが、他の国ではそうでもない。
日本・・・7色(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)
イギリス、アメリカ・・・6色(赤・橙・黄・緑・青・紫)
メキシコのマヤ族・・・5色(黒・白・赤・黄・青)
かつての沖縄地方・・・2色(赤・黒もしくは赤、青)
また、具合が悪い人の顔色も国によって表現がまったく異なる。(調べてみてね!)
この種の先入観は様々な場面で存在する。「ヨガの先生はベジタリアン」「モンゴル人は馬に乗ってる」「お坊さんは健康で長生き」「韓国の美人は整形」「世界はひとつ」・・・。
伊藤さん 他人というのは自分と違う前提を持っている。自分と相手の世界は決定的に違うんです。違うからこそすりあわせていく意義があるし、コミュニケーションをする意義があると僕は思っています。
確かに、「私」という人間を決める要素はたくさんあって、その組み合わせで個性というものが生じる。年齢、性別、地位、国籍、宗教、知識、教養、趣味、心理、経済、政治・・・。
伊藤さん コミュニケーションというのは、できるかどうかは別として、これだけいろんな要素が組み合った中から「どうやってその人に伝えるのか、伝わるのか」ということを、考えることなんです。つまりコミュニケーションというのは、自己主張ではなく、相手の前提に合わせて自分を伝えることです。もちろんそれは自分を無くせということではありません。言いたいことは自分にあっていい。だけど相手の前提に合わせて自分の伝え方を変えていくんですね。一番皆さんが普段やっていることで言えば、服装がそうだと思います。当然結婚式場に行けばそれに合った服を着ようと思うでしょうし、お葬式だったら喪服を着ます。それは自分の着たい服を自分で買っているんですけど、「今日はどういう服装が適するのか」ということを日々みなさんは考えているんですね。コミュニケーションとはそれに近い行為だと思っています。